小国モデルで学ぶ貿易利益と死荷重、政治献金による影響:需要・供給曲線から解く演習問題

経済、景気

この小国の需要曲線D=200−2p、供給曲線S=2pを使って、世界価格が10の場合の貿易利益と死荷重、さらに政治家が利益集団から政治献金を受ける影響を分析してみましょう。図解的に理解することで、問題の解き方が明確になります。

① 閉鎖経済と自由貿易下の均衡と社会的余剰

閉鎖経済では、

需要=供給 → 200−2p=2p → p*=50、Q*=100。

このときの社会的余剰は、
消費者余剰=(100−50)×100/2=2,500、
生産者余剰=(50−0)×100/2=2,500、
合計=5,000。

② 自由貿易下の余剰

世界価格p_w=10。

需要量Q_d=200−2×10=180、生産量Q_s=2×10=20、輸入量=160。

消費者余剰=(100−10)×180/2=8,100、生産者余剰=(10−0)×20/2=100、
合計社会余剰=8,200。

③ 貿易利益(自由貿易の利得)

自由貿易による社会的余剰=8,200、閉鎖=5,000。
貿易利益=差分=3,200

④ 死荷重(DWL)の計算

このケースで自由貿易には関税を課していないため、
死荷重はゼロ。これは最適均衡で非効率損失がないことを意味します。

⑤ 政治献金と社会的余剰の一致条件

政治家が、社会的余剰(SW)に加え献金λ × Cを得るとする。利益集団は、自由貿易時と関税導入時のSW+λCを一致させるよう献金する。

しかし小国では、関税導入による純社会的余剰の低下(死荷重+再分配損)により、総SWが下がるため、そこに完全に一致させるには負の献金(支払われる意味)が仮定され、現実的には一致不能となります。

つまり、自由貿易時のSW=8,200に対し、関税課税でSWは5,000+…で必ず少なくなるため、SW+λCを一致させるには献金Cが負となり、現実解は存在しません。

⑥ λ=1, 2の場合の政治献金額

上記理論的背景より、λ=1でもλ=2でも献金C=0が唯一現実的な回答です。なぜなら、関税導入でSWは必ず減少し、その分を献金で補填するには「負の貢献(受け取る)」となってしまい、実際には献金モデルが成り立たないためです。

まとめ

この問題ではまず需要・供給から閉鎖経済と自由貿易下の均衡価格・数量を求め、そこから社会的余剰の比較によって貿易利益(ΔSW=3,200)と死荷重(DWL=0)を導きました。政治献金によってSWを一致させるという仮定は、小国モデルでは関税がSWを必ず縮小するため、λ=1でも2でも献金額は現実には0円が合理的な結論となります。

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