ここ数年、日本の家計を直撃しているのが「円安」と「物価高」のダブルパンチです。表面的な賃金の上昇が報道される一方で、実質賃金は低下し続けており、生活の実感とのギャップに悩む人も多いのが現状です。本記事では、実質賃金の低下要因や政策との関連性、企業の動き、そして今後私たちが取るべき視点について解説します。
実質賃金の現状:物価上昇が賃金を上回る
名目賃金が上がっていても、同時に物価も上昇していれば、生活は楽にはなりません。これが「実質賃金が下がっている」という現象です。例えば、2年前と比べて食品やエネルギー価格が20%以上上昇しているのに、給料が数%しか増えていなければ、手取り感覚はむしろ悪化します。
総務省の家計調査でも、50代の実質賃金は▲12%以上減少したというデータがあり、年収500万円相当の労働者であれば、実質的には450万円程度の生活しかできないという計算になります。
円安の影響:輸入価格上昇が家計を直撃
1ドル=150円を超えるような円安水準は、輸入品価格に直接影響します。ガソリンや電気、ガスといったエネルギー関連に加え、輸入原材料に依存する食品・日用品も値上げラッシュとなっています。
一方で、円安のメリットである輸出企業の利益増加は、国内消費や雇用全体への還元には結びついていないのが実情です。結果として、家計には「恩恵なき円安」として重くのしかかっています。
日銀の政策と金利据え置きの背景
日本銀行が長らくゼロ金利政策を維持している理由の一つは、「企業の設備投資や住宅ローンの負担を軽減し、景気回復を促す」ためです。しかしながら、現在のインフレ環境下では金利を引き上げてインフレを抑制するのが世界の標準的な対応です。
日本では、財政負担や景気後退への懸念から、金利をすぐに上げることができない状況にありますが、インフレ下で金利が上がらないことは、預貯金の目減りを意味し、国民の実質資産を減少させる側面もあります。
企業の賃上げ姿勢と現実のギャップ
一部の大手企業は「過去最高益」と報じられる中で、ベースアップなどの賃上げを行っているものの、中小企業では依然として人件費を上げる余力がなく、賃金の据え置きが続いています。
企業が「原材料価格やエネルギー費の高騰」を理由に商品価格を上げる一方で、従業員の給与に十分に還元されていないことが、実質賃金の低下に拍車をかけています。
労働意欲と働き方の変化
物価高騰の中で、実質賃金が下がり続ければ、「働いても生活が楽にならない」という意識が広がり、労働意欲の低下や離職増加につながります。また、副業やフリーランスとしての独立、副収入を得る手段を模索する人も増加傾向です。
こうした変化は企業の採用難、人手不足の加速にも直結しています。
まとめ:今後の生活を守るために必要な視点
物価高・円安・実質賃金低下というトリプルショックに対抗するには、単に賃上げを待つだけでは不十分です。政府や企業による構造的な改革に加え、個人としても投資・副業・節約術といった自衛手段を身につけていくことが求められます。
そして私たち一人ひとりが「今の政策が本当に生活を豊かにしているか」を問い、必要に応じて声を上げていくことが、健全な経済と政治をつくる第一歩になるでしょう。

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