親から子への資金移動とNISA運用で気をつけたい贈与税のポイント

資産運用、投資信託、NISA

成人する子どもの将来を考え、NISA口座を活用して資産形成を支援する親が増えています。しかし、親から子へ資金を渡す際には、思わぬ税負担が発生するケースもあります。特に「贈与税」に関する理解は欠かせません。本記事では、子ども名義のNISAに親の資金を充てる際に気をつけるべき点を、贈与税の視点からわかりやすく解説します。

子ども名義のNISA口座を親の資金で始めると贈与になる?

原則として、親が自分の資金を子どもに渡してNISA口座で投資する場合、その資金は「贈与」と見なされる可能性があります。贈与とは、対価なく財産を他人に与える行為であり、年間110万円を超える金額を贈与すると、贈与税の対象になります。

今回のケースのように300万円を一括で渡す場合、贈与税の基礎控除額を超えているため、申告と納税の義務が生じることになります。

贈与税の計算と税率について

贈与税の税率は累進課税となっており、もらった金額が多くなるほど税率も高くなります。たとえば300万円を贈与した場合、110万円を引いた190万円が課税対象となり、税率は10%、控除額は10万円です。この場合の税額は以下のように計算されます。

(190万円 × 10%)− 10万円 = 9万円が贈与税額になります。

贈与税を回避するための工夫

贈与税を回避したい場合、次のような工夫が可能です。

  • 毎年110万円以下に分割して贈与する。
  • 「名義預金」と見なされないように、子ども本人が通帳を管理し、意思決定に関与する。
  • 資金を直接NISAに入れず、一度子どもの口座に振り込んでから運用を始める。

特に注意したいのは、形式的に子ども名義にしていても、実際は親が管理している場合、税務署から「名義預金」と判断され、課税されることがある点です。

成人年齢の引き下げによるNISA口座開設要件

2022年4月から、民法上の成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことにより、18歳以上であればジュニアNISAではなく、一般のNISA(2024年以降は新NISA)口座を開設できます。

そのため、20歳になるお子さんが新NISAを活用することは問題ありませんが、開設時点で本人が意思を持ち、手続きを自ら行っている必要があります。

教育資金贈与制度など他の制度の活用も視野に

一定の条件下では、贈与税の非課税制度として「教育資金の一括贈与非課税制度」なども利用できます。この制度を使えば、1,500万円までの資金を非課税で贈与可能ですが、用途が教育費に限定されるため、NISAには使えません。

しかし、目的に応じてこうした制度の併用も検討すると、税負担を最小限に抑えることができます。

まとめ:計画的な資金移動でNISAを有効活用

親が子どもの将来を考えて投資を始めることは素晴らしい選択ですが、税制の理解が不足していると、思わぬ贈与税負担が発生します。特に300万円のような高額資金を一括で渡す場合には、必ず贈与税の申告と納税義務が発生する点に注意が必要です。

年間110万円の非課税枠を活用して数年に分けて資金を渡す方法や、子ども自身による運用意思の明確化など、工夫次第でリスクを抑えつつ、資産形成をサポートできます。税理士など専門家への相談も視野に入れて、安心してNISAを活用しましょう。

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