WTI原油の「インターミディエイト」とは何を意味するのか?石油取引における用語の正しい理解

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原油価格の指標としてよく知られる「WTI原油」。その正式名称は「West Texas Intermediate(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)」ですが、「インターミディエイト」とは一体どういう意味なのでしょうか?この言葉の背景を理解することで、原油市場の基本的な知識がより深まります。

WTI原油とは?基本的な概要

WTI原油は、アメリカ合衆国のテキサス州を中心に産出される原油で、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)などで世界的な価格指標として取引されています。

ブレント原油(北海産)と並び、世界で最も注目される原油価格のベンチマークのひとつで、金融市場でも「WTI原油先物」としてよく登場します。

「インターミディエイト」の意味:直訳と業界での意味の違い

「インターミディエイト(Intermediate)」は直訳すると「中間」「中等」という意味です。しかし原油市場では、これは原油の「品質レベル(API重力度)」を指します。

つまり、「ライト(軽質)」「ヘビー(重質)」といった分類の中間に位置するものではなく、軽質〜中質の原油であり、比較的扱いやすく精製効率が高いとされるグレードを意味します。

原油のグレード分類とWTIの位置付け

原油は主に以下のように分類されます。

  • ライト(軽質):精製がしやすく、ガソリンなどの高付加価値製品が多く得られる
  • ミディアム(中質):ライトとヘビーの中間
  • ヘビー(重質):精製が難しく、アスファルトなどが多く含まれる

WTI原油は「ライト・スイート(軽質かつ硫黄分が少ない)」に分類されますが、「インターミディエイト」はあくまで米国内における分類上の名称であり、「中質」というよりは中南部アメリカ産の比較的良質な原油としての意味合いを持ちます。

WTIと他の原油との比較

WTIはAPI重力度が約39〜40で非常に軽質、硫黄分は0.24%程度と低く、精製しやすいため米国の精製所でも高く評価されています。

一方、北海産ブレント原油はAPI重力度が38程度でWTIよりやや重く、ドバイ原油やオマーン原油はもっと重質・高硫黄となりアジア向け指標として使われます。

なぜ「インターミディエイト」という言葉が残っているのか

この呼称は、歴史的に米国内での原油の輸送・流通過程で複数のグレードに分かれていた時代に由来しています。テキサス中部で採掘されたこの原油は、より重質なものと軽質なものの中間に位置づけられたことから、「インターミディエイト」と名づけられたのです。

現在ではその「中間」という表現はあまり正確ではないものの、名称としてはWTI(West Texas Intermediate)のまま使用されています。

まとめ:WTI原油の「インターミディエイト」は品質に由来する歴史的呼称

「インターミディエイト」は単なる直訳の「中間」ではなく、原油の品質・グレードの分類に関わる用語です。WTIは軽質で硫黄分の少ない高品質原油であり、世界市場においても価格指標として高い信頼性を持っています。

こうした用語の背景を知ることで、エネルギー市場の理解がより深まるでしょう。

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