国際取引において、関税は企業の利益やコストに大きな影響を与える重要な要素です。特に、複数の国をまたぐサプライチェーンでは「どの国の関税が適用されるのか?」という点が実務上のポイントになります。この記事では、中国から原材料を輸入し、日本で製品化してアメリカへ輸出するケースを例に、関税の基本と適用ルールをわかりやすく解説します。
関税はどの段階で課されるのか?
関税とは、主に国境を越えるモノの移動に際して課される税金です。つまり、輸入のタイミングで課税されるのが一般的です。日本が中国から原材料を輸入する場合、まず日本の税関でその材料に対して関税がかかります。
その後、日本国内で加工され製品となったものをアメリカに輸出する際には、今度はアメリカ側の税関でその製品に対して関税が課されることになります。
製品の「原産地」はどこで決まるのか?
貿易においては、「原産地(country of origin)」の判定が極めて重要です。これは、どの国の製品として扱うかを決めるもので、関税率の適用やFTA(自由貿易協定)の利用可否を左右します。
この判定には「実質的変更基準」というルールがあり、日本国内で一定以上の加工(例えば組立や付加価値の増加)がなされていれば、日本産として認定されるケースが多いです。
具体例:日本での製造工程を経た場合
たとえば、以下のようなケースを考えてみましょう。
- 中国で製造された部品を輸入(この時点で日本側が関税支払い)
- 日本の工場で組立・検品・パッケージなどを実施
- 完成品をアメリカへ輸出
この場合、実質的な加工が行われていれば、完成品の「原産国」は日本となり、アメリカでは「日本製品」として扱われ、日本とアメリカ間の関税率が適用されます。
しかし、日本での加工が軽微で、中国の原材料がほぼそのままの形で使われている場合は、「中国製」と見なされ、中国からの輸入品としてアメリカで高い関税が課される可能性があります。
FTAを活用した関税の軽減策
日本は多くの国と自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を締結しています。たとえば、日米貿易協定に基づき、日本製品にはアメリカで優遇関税が適用される品目もあります。
これを利用するためには、製品の原産地証明書(CO:Certificate of Origin)が必要となるケースが多く、加工内容や原材料のトレーサビリティも重要です。
まとめ:関税の基準を理解して、コストを最適化
国際貿易においては、単に輸出入の手続きだけでなく、関税の仕組みを理解し、どの国の関税が適用されるのかを正しく判断することが重要です。原材料が中国産でも、日本で十分な加工を施すことで「日本製」として扱われ、日米間の優遇関税が適用される可能性があります。原産地規則やFTAの条件をしっかり確認し、コスト管理を徹底しましょう。

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