財市場において自由貿易や税政策が総余剰に与える影響は、負の外部性が存在する場合には特に注目すべき点です。今回は、具体的な関数を用いた小国モデルのケースを通じて、最適な生産・消費水準、自由貿易均衡、関税や消費税導入時の影響を詳しく見ていきます。
モデルの前提と設定
この小国の財市場では、需要関数がq = 40 – p、供給関数がq = pと定義されています。世界市場では価格p = 10で取引されており、消費には1単位あたり2の負の外部性が存在すると仮定します。
このような前提に基づいて、4つの異なるケースにおける総余剰を算出し比較していきます。
ケース1:総余剰を最大化する政策(社会的最適)
負の外部性を考慮した場合、最適な消費価格は12(世界価格10+外部性2)となり、需要は28、供給も28になります。
この時の総余剰は -744 となり、外部性を内部化した最適政策によって損失が最小限に抑えられていることがわかります。
ケース2:自由貿易均衡
世界価格が10で取引され、需要は30、国内供給は10、差額の20は輸入で賄われます。消費者余剰は大きくなりますが、外部性による損失も増加します。
この場合の総余剰は -760 となり、最適政策よりも悪化します。
ケース3:関税(従量税2)の導入
関税により国内価格が12となり、需要は28に抑えられ、国内供給は12、輸入は16になります。税収が生まれる反面、消費は抑制されます。
この時の総余剰は -840 と最も低く、関税は効率性を下げる結果となります。
ケース4:消費税(税率2)の導入
消費者が支払う価格が12となり、需要は28、供給10、輸入18。税収は得られるものの、消費者余剰が圧縮されます。
このケースでは総余剰は -794 で、自由貿易よりもさらに悪化しますが、関税よりは改善されています。
まとめ:外部性と政策選択の重要性
外部性が存在する場合、最適な政策は単純な自由貿易とは異なり、負の影響を内部化した価格調整が必要となります。今回のように、数値モデルを用いることで政策効果を定量的に把握することが可能になります。
政策立案者にとっては、外部性の把握とそれに応じた課税・補助制度の設計が、社会的余剰の最大化にとって不可欠です。

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