2020年に世界中を襲った新型コロナウイルスは、経済活動に大きな打撃を与えました。しかしその一方で、各国政府と中央銀行が前例のない規模で行った金融緩和や財政出動は、株式市場に強烈な追い風をもたらしました。この記事では、「コロナが起きた世界」と「コロナが起きなかった世界」で、どちらが株価にとって良かったのかを多角的に検証していきます。
金融緩和と株価の関係
株式市場は実体経済以上に金融政策の影響を強く受けます。コロナ禍では米連邦準備制度(FRB)をはじめとした世界の中央銀行がゼロ金利政策と大規模な資産購入(QE)を実施しました。結果として市場に大量のマネーが流れ込み、S&P500やNASDAQなどの株価指数は急速に回復し、過去最高値を更新しました。
たとえば、米国株は2020年3月に暴落した後、わずか数ヶ月で回復し、2021年末にはコロナ前の2倍近くにまで上昇しました。
コロナがなかった場合の世界線
一方で、もしコロナがなかった場合、FRBや日銀、ECBがここまで大胆な金融緩和を行うことはなかったと考えられます。つまり、株式市場に流れ込むマネーの量も穏やかで、株価上昇はより緩やかなペースだったと予想されます。
経済成長は緩やかでも着実だったかもしれませんが、インフレ懸念もなく、過剰なバブルを招くような株価高騰は避けられていた可能性も高いです。
一時的な株価上昇とその副作用
金融緩和の効果で株価は急上昇しましたが、それには副作用もあります。過剰なマネー供給はインフレを招き、2022年以降は各国が急激な利上げに転じることになりました。これが結果的に景気後退懸念を強め、市場のボラティリティ(変動性)を高めました。
つまり、短期的には「コロナがあったから株価が上がった」と言えますが、中長期的にはその副作用が現在の金融引き締めという形で返ってきているとも言えます。
実例比較:米国株指数の推移
S&P500:2020年3月に2200ポイント台まで下落→2021年末には4700超まで上昇。
NASDAQ:2020年初に9000台→コロナ後に16000台に到達。
これらは、金融緩和の恩恵を受けた企業(特にGAFAMなどのハイテク株)が大きく成長した結果です。実体経済が苦しむ中で、株価だけが先行して上昇するという「株高と実体乖離」の状況が生まれました。
結論:どちらが株価に有利だったか?
短期的視点で見ると、コロナ発生+金融緩和があった世界線の方が株価は高くなったと判断できます。これはマネーの供給量が直接株価に影響した結果です。
ただし、中長期的には過剰な緩和のツケが回り、利上げ・景気減速・バブル崩壊リスクといった負の側面もあるため、持続的な株価上昇には必ずしも有利とは言えません。
まとめ:株価だけで世界の良し悪しは決まらない
「株価が高い=経済が良い」とは限りません。コロナによって失われた命、雇用、生活の安定と引き換えに得た金融緩和による株価上昇が本当に望ましい結果かどうかは、慎重な議論が必要です。
それでも、投資家としては「市場にマネーが流れ込む状況」を見極めることが極めて重要であり、未来の株価を占うヒントになります。

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