新NISA制度の登場により、投資初心者から経験者まで幅広く利用されるようになりました。そのなかで「積立投資枠」と「成長投資枠」の関係性について疑問を抱く方も少なくありません。この記事では、両枠を使って同一銘柄(例:S&P500連動型の投資信託)に投資した場合、運用がどう扱われるのかについて詳しく解説します。
新NISAの基本構造と2つの投資枠
新NISAには「つみたて投資枠(年間120万円)」と「成長投資枠(年間240万円)」の2種類の非課税枠があります。どちらも非課税で運用益が得られるという共通点はありますが、投資可能な商品と投資スタイルに違いがあります。
つみたて投資枠は、金融庁の基準を満たした長期・分散投資向けの投資信託に限られ、毎月コツコツ積み立てる前提です。一方、成長投資枠は、ETFや個別株も含めた多様な商品にスポットで投資することが可能です。
つみたて枠と成長枠で同一銘柄を購入した場合の取り扱い
仮にS&P500連動型の投資信託を、つみたて枠で毎月3万円(計30万円)積み立て、さらに成長投資枠で100万円スポット購入した場合、購入したファンドが同一であっても、非課税枠はそれぞれ独立して管理されます。
つまり、運用上は同じファンドでも、税制上・管理上は「積立枠:30万円」「成長枠:100万円」として別々にカウントされ、個別に非課税期間(最長5年間)が適用されます。
運用結果の合算は可能?
資産管理画面上ではファンドの時価評価額や含み損益を合算して確認できることが多く、SBI証券や楽天証券では、同一銘柄について枠をまたいでも「合計保有数量」や「トータル損益」が表示されます。
しかし、税務上の非課税枠は合算されない点に注意が必要です。例えば、成長投資枠で売却すると、その分の非課税枠が復活するわけではなく、使った年限分の非課税期間が終了するまでは再利用もできません。
運用戦略上の注意点
枠ごとの管理が必要なため、積立枠で積極的に長期保有しつつ、相場のタイミングを見て成長投資枠を活用する、といった柔軟な戦略が必要です。また、枠の残高を確認しながら、売却のタイミングや再投資の方法を工夫することも重要です。
ファンドが同じであっても、たとえば非課税終了時のロールオーバー(新たな枠への移行)は原則できないため、出口戦略も踏まえた設計をしておきましょう。
実例:AさんのS&P500活用パターン
30代会社員のAさんは、2024年から毎月3万円でS&P500に積立開始。2025年に100万円のボーナスが入り、同じ銘柄に成長投資枠を使って一括購入しました。
保有銘柄は証券口座では1銘柄として表示されますが、税務的には「つみたて投資枠での30万円分」と「成長投資枠での100万円分」に分かれており、それぞれ独立した非課税扱いです。Aさんは今後、成長投資枠分の出口戦略として5年後に売却益を非課税で得ることを検討しています。
まとめ:合算表示は可能でも制度上は別管理
新NISAでは、同じ銘柄に複数の投資枠で投資しても、口座上は合算されて表示されるものの、制度上・非課税管理上は完全に独立した扱いです。したがって、積立とスポットの両方を活用する場合でも、それぞれの枠の運用計画と管理が不可欠です。
最適な資産運用を目指すためには、証券会社の管理画面をうまく活用しながら、年ごとの投資計画を丁寧に設計しましょう。

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