空売りは日本株投資においてリスクヘッジや下落相場での利益獲得手段として有効な戦略ですが、制度信用と一般信用という2つの手段があり、それぞれの仕組みや用途によって適した活用法が異なります。個人投資家だけでなく、機関投資家の動向も空売り戦略に影響を与えるため、その実態を理解しておくことは極めて重要です。
制度信用取引と一般信用取引の基本的な違い
制度信用取引は、証券取引所と証券金融会社が関与する公的な仕組みで、6か月の返済期限が設けられています。取扱銘柄が限られている一方で、一般的に貸株料(空売り金利)が安く、デイトレーダーや短期トレーダーに好まれています。
一方、一般信用取引は、各証券会社が独自に設定する取引で、無期限での建玉保有が可能です。取り扱い銘柄が多いという利点がある一方で、貸株料が高めに設定されるケースが多いため、コスト面では制度信用に劣ります。
機関投資家はどのように空売りしているか?
実は、機関投資家は制度信用をあまり使っていません。なぜなら、制度信用取引は個人投資家向けに設計されたもので、取引量や柔軟性に制限があるからです。
代わりに機関投資家は、「現物株の貸借取引」や「店頭デリバティブ取引」などを利用し、証券会社や他の機関から株式を直接借りて空売りを行います。この方法は、制度信用や一般信用の枠組みにとらわれず、大規模な空売りポジションの構築が可能な点が特徴です。
制度信用が個人投資家に人気の理由
制度信用は、貸株料(年率1.1%前後)が一般信用よりも低く設定されているため、コスト重視の短期取引に向いています。
たとえば、信用取引で空売りをして数週間以内に決済するようなスタイルでは、コストを最小限に抑えつつ利益確定が狙えるため、多くの個人投資家に選ばれています。ただし、制度信用で空売りできる銘柄は「貸借銘柄」に限られる点に注意が必要です。
実例:制度信用と一般信用の使い分け
ある個人投資家は、決算発表前のネガティブ材料をもとに制度信用で空売りを行い、翌週には利益を確定。一方、長期的に下落トレンドが予想される銘柄では、一般信用でじっくり空売りを保有しています。
また、人気株で空売りが集中する場合、制度信用では「逆日歩」が発生するリスクもあります。こうした事態を避けるため、制度信用と一般信用を状況に応じて使い分けるのが賢明です。
空売りを行う際の注意点と戦略
空売りは株価下落時に利益を出せる反面、無制限に損失が拡大するリスクも孕んでいます。特に、踏み上げ相場や相場転換には十分な警戒が必要です。
- 必ず損切りラインを事前に設定する
- 逆日歩のリスクがある制度信用では、直近の需給状況もチェック
- 空売りと現物買いを組み合わせたロング・ショート戦略も有効
まとめ:目的とリスク管理に応じた空売り手法の選択を
・制度信用は短期トレードに向いており、個人投資家に人気
・一般信用は長期保有や非貸借銘柄の空売りで有効
・機関投資家は制度信用を使わず、直接貸株やOTC取引で対応
・空売り戦略ではコスト・逆日歩・需給・損切りを常に意識する
投資スタイルに合った空売りの手法を選び、相場の変動をチャンスに変えていきましょう。

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