2024年からスタートした新NISA制度では、非課税での資産運用がより柔軟かつ拡大され、多くの投資家にとって魅力的な制度となりました。中でも「年間120万円のつみたて投資枠」と「非課税保有限度額1,800万円（成長投資枠との合計）」の仕組みは非常に注目されています。本記事では、この制度の仕組みと長期的な運用戦略について詳しく解説します。
新NISAの基本構造をおさらい
新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの投資枠があり、年間でそれぞれ以下の金額が非課税枠として設定されています。
- つみたて投資枠：年間120万円
- 成長投資枠：年間240万円
非課税保有限度額は1,800万円までとされており、そのうち1,200万円までが成長投資枠として利用可能です。つまり、つみたて投資枠で最大限に積み立てても、制度上限に届かない仕組みです。
積み立て枠だけで1,800万円を埋めることは可能か？
年間120万円ずつ投資した場合、15年間継続しても合計は「120万円×15年＝1,800万円」となり、非課税保有限度額には理論上達します。
ただし実際には、非課税保有限度額には「時価評価額」が影響します。元本ベースで120万円ずつ積み立てても、値動きによって時価が上下するため、常にピッタリ1,800万円になるとは限りません。
「保有額」＝「投資額」ではないことに注意
非課税保有限度額は「保有中の時価ベースでの残高」なので、投資後の資産価値が減少すれば、余剰の枠が再度使える可能性もあります。一方、資産が増加して上限を超えると、新たな買付ができなくなります。
つまり、積立枠だけで1,800万円を埋めることは時間的には可能でも、運用成績次第で枠の消化ペースは変動するという点に注意しましょう。
つみたて投資枠だけの利用戦略とは
成長投資枠を使わず、つみたて投資枠のみで運用する場合は、以下のような特徴があります。
- 投資対象が限られている（金融庁が認可した一定基準の商品）
- ドルコスト平均法により価格変動リスクが抑えられる
- 運用期間は長期になりやすく、複利効果を最大限活用可能
たとえば、年間120万円を15年間積み立てて、年利5%で運用した場合、最終的な評価額は約2,700万円に到達する可能性もあります。
複数年で積立＋一部成長枠を活用する戦略も
仮に資金力がある場合、つみたて枠だけでなく成長投資枠も併用することで、より早く1,800万円の非課税保有額に到達できます。
例えば、つみたて枠で毎年120万円、成長投資枠で年間200万円を投資すれば、約5年で上限に達するシナリオもありえます。ライフプランや資金余力に応じて、どの枠をどう使うかを設計することが重要です。
まとめ：つみたて枠でも長期的に1,800万円は目指せる
新NISAのつみたて枠だけでも、理論上は15年間で非課税保有限度額の1,800万円に達することが可能です。ただし、時価評価額での管理であることや、成長投資枠の併用で効率化も可能な点を踏まえ、柔軟に資産形成を進めるのが理想です。
つみたて投資の強みは時間と複利の効果。焦らずコツコツ、制度のルールを理解して活用していきましょう。
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