完全競争市場において、消費者余剰と総余剰は市場の効率性を示す重要な指標です。この記事では、ある財の完全競争市場における消費者余剰と総余剰を計算する方法について解説します。市場の需要関数と供給関数が与えられた場合、これらの余剰をどのように求めるのかを理解しましょう。
1. 完全競争市場と余剰の基本概念
完全競争市場では、商品が均衡価格で取引され、供給量と需要量が一致します。消費者余剰は、消費者が支払ってもよいと考える価格と実際に支払う価格との差額の合計です。総余剰は、消費者余剰と生産者余剰を足し合わせたもので、社会全体の利益を示します。
これらの余剰は、効率的な資源配分の指標となり、市場がどれだけ効率的に機能しているかを測るための重要なツールです。消費者余剰が大きいほど、消費者は得をしており、市場の効率性が高いことを意味します。
2. 需要関数と供給関数の設定
今回の問題では、需要関数と供給関数が次のように与えられています。
- 需要関数: Qd = 90 – 10P
- 供給関数: Qs = 20P
ここで、Qdは需要量、Qsは供給量、Pは価格を表します。この関数に基づいて、均衡価格と均衡数量を求める必要があります。
3. 均衡価格と均衡数量の計算
完全競争市場では、需要量と供給量が一致する点で市場が均衡します。したがって、QdとQsを等しくして、均衡価格を求めることができます。
Qd = Qs となるように設定し、計算します。
90 – 10P = 20P
この方程式を解くと、P = 4.5 となります。これが均衡価格です。
次に、均衡価格P = 4.5を需要関数または供給関数に代入して、均衡数量を求めます。
Qd = 90 – 10(4.5) = 45
したがって、均衡数量は45となります。
4. 消費者余剰の計算
消費者余剰は、消費者が支払いたい最大の価格と実際に支払う価格の差に基づいて計算します。需要曲線はP = (90 – Qd) / 10で表され、消費者余剰は次のように求めます。
消費者余剰 = 1/2 × (均衡価格の上の三角形の高さ) × (均衡数量)
ここで、均衡価格は4.5、均衡数量は45なので、消費者余剰は次のように計算されます。
消費者余剰 = 1/2 × (9 – 4.5) × 45 = 1/2 × 4.5 × 45 = 101.25
したがって、消費者余剰は101.25です。
5. 総余剰の計算
総余剰は、消費者余剰と生産者余剰を合計したものです。生産者余剰は、供給者が受け取る価格と最低価格との差です。
供給曲線はP = Qs / 20で表され、生産者余剰は次のように求めます。
生産者余剰 = 1/2 × (均衡価格の下の三角形の高さ) × (均衡数量)
ここで、生産者余剰は。
生産者余剰 = 1/2 × 4.5 × 45 = 101.25
したがって、生産者余剰も101.25です。
総余剰は、消費者余剰と生産者余剰を足し合わせたものです。
総余剰 = 101.25 + 101.25 = 202.5
6. まとめ:消費者余剰と総余剰の意義
消費者余剰と総余剰は、市場の効率性を評価するための重要な指標です。完全競争市場においては、消費者余剰と生産者余剰が最大化されるため、社会全体の福利が最大化されます。
このように、経済学では余剰の計算を通じて、効率的な市場の特性を理解することができます。消費者余剰が大きいほど消費者にとって有利で、総余剰が大きいほど社会全体にとって効率的な市場といえるのです。
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