「政府が通貨をどんどん発行すれば景気は良くなるのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、通貨を無制限に発行する行為には重大なリスクが伴います。この記事では、その仕組みと現実的な問題について、わかりやすく解説します。
通貨発行とは何か?その仕組みを理解しよう
通貨の発行は、日本では日本銀行(日銀)が担っています。日銀が国債を買い取るなどしてお金を市場に供給することが「通貨の発行」にあたります。
たとえば、政府が赤字国債を発行し、日銀がそれを買い取ることで市場にお金が流れる。この仕組み自体は経済刺激策として使われますが、限度を超えた場合に問題が生じます。
インフレと通貨の信認喪失
通貨を大量に発行すると、通貨の価値が下がる「インフレ(物価上昇)」が起きます。お金の量が増えれば増えるほど、相対的にその価値は下がるからです。
ジンバブエやベネズエラのハイパーインフレは典型例で、政府が財政赤字を埋めるために大量の通貨を発行し、結果的に国民が日常生活で使えないほど通貨価値が暴落しました。
日本における現実的な制限
「日本は借金大国だから通貨を刷って返せばいい」という主張もありますが、これは極めて危険です。実際には、中央銀行の独立性や市場の信頼を損なうため、通貨発行には強い歯止めがかけられています。
また、金利や為替レート、国債の格付けなど、市場のあらゆる分野に影響が出るため、乱用は政策運営を不安定にします。
MMT(現代貨幣理論)との関係
近年注目されているMMT(Modern Monetary Theory)では「自国通貨建ての国債なら無限に発行できる」とする考え方がありますが、多くの経済学者はこれに慎重な姿勢を取っています。
理論的には可能でも、国民の通貨への信頼が崩れるリスクが大きく、インフレ管理が非常に難しくなるためです。
実例で見る「通貨の乱発」が招いた失敗
たとえばジンバブエでは2000年代、政府が過剰な公共支出を通貨発行で賄った結果、インフレ率が年2億%を超える「ハイパーインフレ」となり、自国通貨が紙くず同然になりました。
ベネズエラもまた原油価格低迷と財政赤字により、2010年代に通貨を大量発行。物価が急騰し、国民の生活は壊滅的な打撃を受けました。
まとめ:通貨の大量発行は最終手段
通貨を「ガンガン発行」することは、一見すると財政赤字の解決策や景気刺激策に見えますが、長期的には経済全体の信頼を損なうリスクがあります。
健全な通貨政策とは、インフレ率や金利、経済成長とのバランスを取りながら慎重に進めるものであり、単純な発行増加は最終手段に過ぎません。経済の健全性を保つためには、通貨の供給もコントロールが不可欠なのです。

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