近年、「国債を発行すれば財源は無限にある」「税金を増やさなくても国債でいくらでも支出できる」といった主張がSNSなどで多く見られるようになりました。一方で、メディアや政府関係者は「財源が必要」と繰り返します。果たしてどちらが正しいのでしょうか?この記事では、財政の基本と国債の役割について冷静に解説していきます。
国債とは何か?国の借金のしくみ
国債とは、政府が発行する「借金の証書」で、主に市場(銀行・機関投資家・個人など)からお金を借りるための手段です。将来の税収などを担保にして資金を調達し、公共事業や社会保障、教育などに使われます。
たとえば、赤字国債は景気対策や財政不足の補填に使われ、建設国債は道路や学校といった資産形成に充てられます。つまり、国債は単なるお金の印刷ではなく、「返済義務を伴う負債」なのです。
国債を発行しすぎると何が起きるのか
理論上、国債はいくらでも発行できますが、実際には以下のリスクがあります。
- 金利の上昇:国の信用が下がると、借金の利息が高くなり、財政が圧迫されます。
- 通貨の信認低下:円が信用されなくなると、円安・インフレが進行し、国民の購買力が下がります。
- 民間資金の圧迫:市場に国債があふれると、民間企業の資金調達が難しくなります。
たとえば、戦後の日本やジンバブエなどでは、政府が財源不足を埋めるために大量の国債を発行し、結果的にハイパーインフレに陥った事例があります。
なぜ「財源」を気にするのか?メディアと政府の立場
政府やマスコミが「財源が必要」と繰り返す理由は、財政規律の維持と将来世代への責任です。際限なく国債を発行して支出を続ければ、将来的に国の信用が落ちて通貨危機や財政破綻のリスクが高まります。
これは単に「お金がないから使えない」のではなく、「持続可能な形で支出を続けるために制約が必要」という考え方なのです。
MMT(現代貨幣理論)とその限界
MMT(Modern Monetary Theory)では「自国通貨建てで国債を発行できる国は財政破綻しない」とされ、一定の支持を得ています。確かに、理論上は日本政府が円を発行し続ける限り、デフォルトは起きにくいとされます。
しかし、現実にはインフレや市場の信認喪失という制約があるため、MMTをそのまま政策に取り入れることには慎重な見方が多数です。日本銀行も「MMT的な発想には課題がある」と発言しています。
減税・社会保障拡充と財源:どこに限界があるか
減税や歳出増加には当然、対価としての財源が必要です。国債による一時的な対応は可能でも、恒常的な制度維持には安定財源が欠かせません。
たとえば、消費税を5%に下げる場合、10兆円以上の歳入減になります。それを毎年国債で補填すれば、将来的には国債残高が膨張し、利払い費が増え、社会保障などに使える財源が逆に減ってしまうという逆効果が起きかねません。
まとめ:財源論には慎重さとバランスが必要
「国債を出せば財源は無限」とする意見には一理ありますが、それは現実の経済・金融システムの中で慎重に活用すべきものです。減税も歳出拡大も将来への責任を考慮し、持続可能な財政運営とセットで検討すべき課題です。
メディアや政府が「財源論」に言及するのは、単なる杓子定規な対応ではなく、国家の健全性を保つための必要な視点でもあるのです。

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