経済学の基本である需要曲線。一般的には「価格が下がれば需要は増える」とされていますが、実際には価格がどれだけ下がっても「もういらない」と感じる場面もあります。この記事では、需要曲線の右下に位置する場面で、なぜ需要が伸びなくなるのかを、具体的な例を交えてわかりやすく解説します。
需要曲線の基本と右下の意味
需要曲線とは、ある商品の価格とその商品の需要量(購入される数量)の関係を示したグラフです。通常、価格が下がると需要が増えるため、右下がりの曲線になります。
しかし、需要曲線の右下に行くということは、価格が極端に低くなっている状態を意味します。このとき、「それでも買わない」という現象が発生する理由には、人間の行動心理や商品の性質が関係しています。
限界効用の逓減:もっとあっても嬉しくない
「限界効用の逓減(ていげん)」という経済学の原則があります。これは「同じ商品を繰り返し手に入れるほど、その満足度(効用)は下がる」という考え方です。
たとえば、のどが渇いているときの1本目の水は非常にありがたいですが、10本目になるともう欲しくありません。価格が0円になったとしても、体が1本しか必要としていないなら、それ以上は「タダでもいらない」状態になります。
保存や消費に限界がある商品の場合
需要曲線の右下で「それでもいらない」となる背景には、物理的・実務的な制限もあります。例えば生鮮食品や日用品など、保存が難しいものは大量に買っても使いきれないため、安くても需要が伸びません。
例えば、玉ねぎが1個5円になっても、1人暮らしの人が100個買うことはまずありません。理由は「腐るから」「使いきれないから」という現実的な制約です。
すでに十分に満たされた需要
人は必要な分が満たされれば、それ以上は購入を控えます。これが「飽和需要」と呼ばれる状態です。すでに商品を持っている、または近い将来に十分な在庫があるとき、どれだけ安くても新たな購入のインセンティブは生まれません。
たとえば、プリンターのインクや洗剤など、「今は必要ない」というタイミングであれば、激安でも買いません。必要性がゼロであれば、価格も関係なくなるのです。
広告・販売戦略にも限界がある
企業がどれだけ価格を下げ、広告を出しても、消費者のニーズがゼロであれば売れません。これは広告効果の限界ともいえます。
例えば、夏に暖房器具がいくら安く売られていても、多くの人は興味を持ちません。季節やタイミングも、需要に大きな影響を与える要因です。
まとめ:価格の力にも限界がある
需要曲線の右下で「安くてもいらない」となるのは、限界効用の逓減、保存や消費の限界、飽和需要など、人間の現実的な行動や制約が関係しています。価格を下げるだけでは解決しない需要の壁があることを理解することが、経済学を深く学ぶ第一歩です。
価格がすべてではないという事実を踏まえて、市場を読み解く力を身につけましょう。

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