ミクロ経済学におけるMR=MCの意味と誤解しやすいポイントをわかりやすく解説

経済、景気

ミクロ経済学では、企業が利潤を最大化するための重要な条件として「限界収入(MR)=限界費用(MC)」が用いられます。しかし、「MR=MCだと利益がゼロなのでは?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。本記事では、MR=MCの意味やその背後にある理論をわかりやすく解説します。

MR=MCとは何か?基本から押さえよう

MR(Marginal Revenue)は、もう1単位の生産を増やしたときに得られる追加の収入を意味します。MC(Marginal Cost)は、もう1単位の生産を増やすためにかかる追加の費用です。

この2つが等しくなる点、つまり「MR=MC」のときが、企業にとって利益を最大化できる生産量とされます。なぜなら、それ以上生産しても追加費用が収入を上回るため、利潤が減少するからです。

MR=MCのとき、なぜ「利潤ゼロ」ではないのか?

よくある誤解が、「MR=MCのとき、収入と費用が同じだから利益ゼロなのでは?」というものです。しかしこれは間違いです。ここでのMRとMCは「1単位追加したとき」の変化の話であり、「全体の収入」と「全体の費用」の関係とは異なります。

たとえば、ある企業が10個生産したとき、総収入が100万円、総費用が70万円なら利益は30万円です。そして11個目の生産に関して、MR=MCならそれが最適な生産水準である、という意味なのです。

最大利益は「MCがMRに達するギリギリ手前」ではない理由

「MCがMRに達するギリギリ手前までが一番儲かるのでは?」という考え方もありますが、これも誤解です。MR>MCのとき、企業は生産を増やすことで利益が増えます。そのため、利益が最大になるのは、MR=MCになった「その点」であって、「直前」ではありません。

もし「直前」で止めたら、追加の利潤を取り逃すことになります。経済理論では、限界の概念を微分的に扱っているため、「ちょうど等しい」点が論理的に最適とされます。

具体例で確認:ケーキ販売の例

ケーキを販売している店があり、1個売るごとに収入は500円。原材料費や人件費など、追加で1個作るのにかかる費用(MC)は以下の通り上昇していくとします。

生産数 限界収入(MR) 限界費用(MC)
1 500円 300円
2 500円 350円
3 500円 450円
4 500円 500円
5 500円 550円

この場合、4個目の生産までMR>MCなので生産を続けた方が利益は増えます。しかし5個目ではMCがMRを上回るため、利益が減ってしまいます。つまり「4個目(MR=MC)」が最適です。

限界分析の考え方を理解することがカギ

MR=MCの理論は、あくまでも「1単位追加するごとの変化」を分析する考え方です。「全体の利益が最大になる点」は、この限界分析によって導かれるもので、直感的な「全体の収入=費用」とは違うのです。

限界の概念は、ミクロ経済学のあらゆる理論の基礎になる考え方であり、慣れると応用も利くようになります。

まとめ:MR=MCは利益ゼロではない、最大化のキーポイント

ミクロ経済学におけるMR=MCは、「利益がゼロ」ではなく「利益が最大化される」点です。この原則を理解することで、企業行動や価格決定の背景がより明確になります。

限界分析に慣れ、数式だけでなく直感でも捉えられるようになれば、経済学の理解はさらに深まるでしょう。

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