PTS取引の約定代金計算が“日をまたぐ”理由とその背景を解説

株式

証券取引において、私設取引システム(PTS)は取引所外でも株式売買が可能な仕組みとして注目されています。中でも、PTSのナイトタイム・セッション(夜間取引)とデイタイム・セッション(昼間取引)の区切りが、一般的なカレンダーの日付とは異なり、前日夜間から当日昼間までを“1日”とする独特の方式で計算されることに疑問を持つ投資家も少なくありません。この記事では、その理由と背景をわかりやすく解説します。

PTSとは?夜間・昼間取引を分けた仕組み

PTS(Proprietary Trading System)とは、証券取引所を通さずに株式を売買できるシステムです。代表的なPTSにはSBIジャパンネクストPTSやチャイエックスPTSなどがあります。PTSは東証の取引時間(9:00〜15:00)外にも利用でき、夜間(ナイトタイム・セッション)にも取引が可能です。

具体的には、ナイトタイムは通常17:30頃から23:59、デイタイムは8:20頃から15:00頃までという時間帯で構成されます。これにより、仕事終わりでも株式の売買が可能な利便性があります。

なぜ“前日夜〜当日昼”を1日とするのか

PTSでの“約定代金1日の合計”を「前日のナイトタイム〜当日のデイタイム」で区切る理由の一つは、実質的な連続取引としての性質を考慮しているためです。

たとえば、PTSナイトタイムで買った銘柄を翌朝のPTSデイタイムで売るなど、投資家の取引は実質的にひと続きのものとして行われるケースが多いです。そのため、ナイトとデイを一体の取引日として管理するほうが、トレード管理上も合理的なのです。

PTSのシステムと東証の“1日”との違い

東証では当日の取引(9:00〜15:00)を1営業日として扱いますが、PTSではシステム上の“1取引日”の定義が異なります。特にジャパンネクストPTSでは、約定代金の合算を「17:30〜翌15:00」として計算するため、カレンダー通りの0:00〜23:59とはずれがあります。

このような計算方式は、システム処理の都合や、顧客利便性、夜間トレードの実態に基づいて構成されています。

投資家にとっての影響と注意点

この計算方式により、例えばPTSの利用手数料体系や約定代金ベースのポイント還元制度などでは、“日またぎ”の取引が同一日に合算されるという影響が出ます。つまり、夜に買って翌朝売ったとしても、手数料計算やポイントは同一取引日として処理される可能性があります。

また、証券会社によっては、PTS取引の反映タイミングや残高更新が“取引日ベース”と“カレンダー日ベース”でズレて見えることもあるため、注意が必要です。

実際の取引例でイメージを確認

例:5月10日 20:00にナイトタイムで株を購入 → 5月11日 9:00にデイタイムで売却。この取引は、PTS上では5月11日の1日分の取引として約定代金に計上されます。

一方、証券口座の残高や履歴では、買付が5月10日、売却が5月11日と日付通りに分けられて表示されることが多いため、投資家は混乱しやすい点です。

まとめ:PTS特有の「実務的1日」による取引管理

PTSで“前日のナイト〜当日のデイ”を1日の取引日として扱うのは、夜間も含めた取引を1つの流れとして整理する合理的な理由があります。これは伝統的な取引時間を超えて活動する投資家にとって、実態に即した設計とも言えます。

今後PTSを活用した積極的な取引を行う方は、この“取引日”の定義に留意し、手数料や損益計算に影響するポイントとして正しく理解しておくことが重要です。

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