米国債を保有する際に悩ましいのが「為替リスク」です。特に10年保有を前提とした長期投資の場合、為替の変動が利回りに大きく影響します。この記事では、FXでのヘッジが高コストになる理由と、それに代わる現実的なヘッジ方法について、シニア投資家にもわかりやすく解説します。
米国債投資と為替リスクの関係
日本人が米ドル建て資産(例:米10年国債)を保有する場合、円高=為替差損が発生するリスクがあります。たとえば1ドル=145円で購入した債券を10年後に1ドル=100円で円転した場合、約30%の評価損になります。
そのため、為替リスクを「ヘッジ(回避)」する手段を講じることが投資リターンを守るカギとなります。
FXでドル売りヘッジは成立するか?
理論的には、米国債の金額と同等のドルをFXで売り(ショート)ポジションにすることで、為替差損を相殺できます。しかし、FXのヘッジには「スワップポイント」というコストが発生します。
現在のドル円スワップポイントが1万通貨あたり−164円/日の場合、年間で約6万円以上、10年間では60万円以上のマイナスになります。これは長期で見るとヘッジ効果を帳消しにするどころか、むしろ損失を広げることになりかねません。
代替ヘッジ①:為替ヘッジ付き外債ファンドを使う
最も手軽で実行しやすいのが、為替ヘッジ付きの米国債ファンドを利用する方法です。これにより、為替の変動による影響を抑えることができます。
ただし、ヘッジコストがかかるため、ヘッジありファンドの利回りは、ヘッジなしに比べて低下する傾向があります。それでもFXよりはるかにシンプルかつ安定した方法といえます。
代替ヘッジ②:通貨分散による資産構成の見直し
ドルに偏らないように、円・ドル・ユーロなど複数通貨で資産を持つことで、為替リスクを分散させる方法も有効です。
このアプローチでは明確なヘッジはしていないものの、特定通貨の急激な円高・円安に対する耐性を高めることができます。
代替ヘッジ③:外貨預金との併用戦略
米国債と外貨預金をセットで持つことで、資産の一部を短期資金化し、為替が有利なタイミングで少しずつ円転するという戦略も取れます。
これにより、為替の一括円転による損失リスクを軽減できます。
高齢者世代が意識すべき「時間と流動性」
70歳という年齢を考慮すると、「リスクの最小化」だけでなく「使いやすさ」や「換金性」も重要です。複雑なFXヘッジよりもシンプルな代替策が適している可能性が高いです。
特にスワップコストのように見えにくい負担が大きいFX取引は、慎重に検討する必要があります。
まとめ
FXでのドル売りによる為替ヘッジは理論的には可能ですが、スワップポイントが大きくマイナスになる現在の状況では、10年保有を前提とした場合、現実的な選択肢ではありません。
代わりに、為替ヘッジ付き外債ファンドの活用、通貨分散によるリスク低減、外貨預金との併用といった代替戦略を検討することで、より安定した運用が可能になります。リスクと利便性を両立させた選択が、これからの資産管理には求められます。

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