金利の上昇が日本銀行(以下、日銀)の保有する国債に与える影響と、それに伴う評価損については、特に注目すべき点がいくつかあります。今回は、金利上昇が日銀の国債にどう影響し、なぜ日銀が償却原価法を採用しているのかを解説します。
金利上昇と国債の価格変動
一般的に、金利が上昇すると既発の国債の価格は下落します。これは、新たに発行された国債の金利が高くなるため、既存の国債は魅力が減少し、その市場価格が下がるからです。例えば、金利が1%上昇すると、既存の低金利の国債の市場価値は大きく減少します。
日銀の国債保有と評価損
日銀は長年にわたり大量の国債を購入しており、金利の上昇により、これらの国債の市場価値が下がると、理論的には評価損を抱えることになります。しかし、日銀は民間の銀行と違い、満期保有目的で国債を保有しているため、これらの評価損は実現することなく帳簿に反映されないことが一般的です。
償却原価法とその背景
日銀が採用している償却原価法は、保有している国債を満期まで保有することを前提としています。この方法では、国債の価格変動に関わらず、購入時の価格で償却を行い、満期まで保有するという方針に基づいています。つまり、金利が上昇しても国債を売却せず満期まで保有することが予定されているため、実際に評価損が「確定」することはありません。
評価損が発生しない理由
日銀が評価損を帳簿上に表示しない理由として、償却原価法が採用されているため、満期保有目的の債権として国債を扱っているからです。これは、金利の変動に関わらず、満期に元本が償還されることを前提としているため、金利上昇による評価損は帳簿に反映されません。
市場の理解と日銀の会計処理
一方で、一般的に民間企業や投資家が行う時価会計では、金利上昇に伴う評価損を反映させる必要があります。しかし日銀の場合、償却原価法を採用することにより、市場の影響を受けず、安定的に国債を運用できるようになっています。これにより、一般の投資家にとっては、日銀が抱える評価損の存在が不透明に感じられることもありますが、会計基準に基づいて透明性が保たれているということです。
まとめ
日銀が採用している償却原価法による会計処理は、金利上昇が国債の市場価格に与える影響を帳簿に反映させない方法です。このため、金利が上昇しても評価損が発生しても、それが実際に「損失」として認識されることはなく、日銀の運営には大きな影響を与えません。この仕組みが、金利の変動に対する安定性をもたらす一方で、市場の投資家にとってはわかりにくい部分もあるという現実があります。
こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。


コメント