なぜ国債利回りと株価は必ずしも逆相関しないのか?同時に上昇・下落する理由を解説

経済、景気

「国債利回りが上がれば株価は下がる」というのは投資の基本のように語られますが、実際のマーケットではその逆の動きや、同時に上下する場面も多く見られます。本記事では、なぜ国債利回りと株価が必ずしも逆に動かないのか、両者の関係の背景と投資判断への応用方法をわかりやすく解説します。

国債利回りと株価の基本的な関係とは?

一般的には、国債利回り(特に10年債などの長期利回り)と株価は「逆相関」関係にあるとされています。これは以下のような理屈です。

  • 国債利回りが上がる(=債券価格が下がる)と、安全資産である債券が魅力的になり、リスク資産の株式から資金が流出して株価が下がる。
  • 一方、利回りが下がると、株式への資金流入が進みやすくなり、株価は上がる傾向になる。

しかし、この関係は「常に成り立つもの」ではありません。

同時に上昇・下落するケースはなぜ起きる?

国債利回りと株価が同時に上昇するケースは、景気が拡大している局面に多く見られます。好景気で企業業績の期待が高まると株価が上がり、それに伴いインフレや金利上昇を警戒した売りが国債に入り、利回りも上がるのです。

逆に、同時に下がるケースは「リスクオフ」の局面です。景気減速や金融危機などで、株も売られ、債券も売られる(あるいは流動性を求めてすべての資産が売られる)ことで両者が連動して下落することがあります。

利回りと株価の関係を崩す3つの要因

  • 中央銀行の政策変更:利上げ・利下げの期待が相場に影響を与え、時に株式と債券が同じ方向に動くことがあります。
  • インフレ・デフレ期待:インフレ期待が高まると利回り上昇とともに株価が上がることがあります。特に資源株や金融株は恩恵を受けやすいです。
  • 需給要因:機関投資家のリバランスや、特定商品の入れ替え、年金資金の運用方針の変更などが、利回りと株価を同方向に動かす要因になることもあります。

実際の市場データから見る動きの例

2021年〜2022年の米国市場では、FRBの利上げ観測やインフレ指標の上昇により、米10年国債利回りとS&P500が同時に上昇する局面が何度も見られました。また、2020年のコロナショックでは、国債利回りも株価も一時的に急落しました。

このように、「国債利回り↑ 株価↑」も「国債利回り↓ 株価↓」も十分起こり得る現象です。過去の事例を把握することで、将来の相場を読み解くヒントになります。

国債利回りを見るときの正しい視点

国債利回りは単なる金利の指標にとどまらず、景気の方向性やインフレ期待、政策スタンスなどを反映した市場の「メッセージ」とも言えます。投資家にとっては、利回りの変動を見ることが、経済全体の地図を読むことと同じくらい重要です。

ただし、利回りだけを見て株価の動向を判断するのは危険です。常に複数の要因を組み合わせて分析することが、相場を読むうえでの基本姿勢です。

まとめ:国債利回りと株価の関係は一筋縄ではない

「国債利回りと株価は逆相関」というのは、あくまで教科書的な原則であり、実際の市場では景気サイクル、中央銀行の政策、インフレ期待などさまざまな要因で関係性が変化します。重要なのは、状況ごとにその動きの背景を読み解くことです。

これからの投資判断においても、利回りの動きとその背景をしっかり観察することで、より正確な判断が可能になります。

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