利子率と貨幣需要の関係とは?資産としての貨幣保有行動を経済学的に解説

経済、景気

経済学では「貨幣需要」は主に取引的需要と資産的需要に分けて考えます。特に利子率との関係において、「なぜ利子率が上がると貨幣の資産需要が減るのか」と疑問に感じる方も少なくありません。この記事では、そのメカニズムを初心者にも分かりやすく解説していきます。

貨幣の資産需要とは何か

貨幣の資産需要とは、投資や支払いなどの目的以外に「現金として持っておきたい」という需要です。将来の不確実性に備えて現金を保有する行動がこれにあたります。例えば、景気が不安定なときに投資せず、手元にお金を置いておくのがその典型例です。

このような貨幣の資産需要は、金利(利子率)と密接に関係しています。

利子率が上がると貨幣を持ちたくなくなる理由

利子率が高いということは、債券や預金などの利子を生む金融資産に資金を投じれば、それだけ高いリターンを得られることを意味します。つまり、手元に現金を置いておく機会費用(=利子を得られない損)が大きくなります。

そのため、利子率が上昇すると、現金を保有するよりも金融商品などで運用した方が得だと判断し、貨幣の資産需要は減少するのです。

利子率が下がると貨幣を持ちたくなる理由

逆に、利子率が低下すると債券や預金などで得られる利子が少なくなり、現金を保有していても損をした感覚が薄れます。特に、利子率がゼロに近づくと「現金で持っていても同じ」という心理が強まり、貨幣の資産需要が高まる傾向にあります。

ケインズ経済学では、利子率が極端に低いと「流動性の罠」に陥り、人々が貨幣を溜め込み、金融政策が効かなくなるとされています。

「銀行に預ける」と「貨幣保有」は違う意味

ここで混同しやすいのが、「銀行に預けること」と「貨幣として持つこと」の違いです。経済学上の貨幣とは、主に現金(紙幣・硬貨)や普通預金など即時に使える資産を指します。一方、定期預金や債券などは流動性が低く、「貨幣」ではなく「金融資産」として分類されます。

つまり、「利子で儲けたいから銀行に預ける」という行為は、貨幣需要ではなく金融商品の購入とされ、貨幣の資産需要とは逆の行動なのです。

例を使った具体的なイメージ

たとえば、利子率が1%しか付かない時に、将来の急な出費に備えて現金を手元に保有する人は多いでしょう。しかし利子率が5%あるなら、銀行に預けておいたほうが得なので、現金保有をやめて預金に回す人が増えます。これが貨幣需要の低下です。

まとめ:利子率と貨幣の資産需要は反比例の関係にある

まとめると、利子率が上がると貨幣を保有する機会費用が増えるため、貨幣の資産需要は減少します。逆に、利子率が下がるとその損失感が薄れ、貨幣を保有する人が増えるのです。この理解は、金融政策や経済ニュースを読み解く上でも非常に役立ちます。

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