「国債を大量に発行して減税すれば景気は良くなるが、信認が失われる」「将来の社会保障が破綻する」――こうした論調はマスメディアや一部の専門家の間で繰り返されています。しかし実際には、国債の発行や財政赤字が即座に国家崩壊を招くわけではありません。この記事では、国債発行に関するリスクや誤解について、経済理論と過去の事例をもとに解説します。
国債とは何か?基本を押さえよう
国債とは、政府が発行する借金の証書であり、将来の税収や経済成長によって返済される前提で発行されます。日本のように自国通貨建て(円建て)で国債を発行している国では、政府は通貨発行権を持つため、理論上デフォルト(債務不履行)のリスクは極めて低いとされています。
実際に日本は世界一の債務残高を持つ国でありながら、国債の金利は長らく超低水準で安定しており、国際的な信認が大きく揺らいだ事例はありません。
「国際的信認が失われる」とは何を意味するのか?
マスコミがよく使う「国際的信認が失われる」という言葉ですが、その定義はあいまいです。通常は、国債の信用が下がると金利が上昇し、外国からの資金調達が困難になることを指します。
しかし、日本の国債の約9割は国内で保有されており、為替リスクを抱えた外国資金に頼っていません。さらに日本銀行が大量に国債を保有しており、金利の安定性を担保しています。
減税で社会保障は本当に削られるのか?
減税によって税収が減ると、「財源がなくなるので社会保障が削られる」といった主張が見られます。しかし、これは財政運営の手法によって回避可能です。国債で一時的に財源を補い、景気回復によって税収を増やすという循環も成立しうるのです。
また、社会保障費の支出は構造的な要因(高齢化など)によって決まる部分が多く、減税の有無だけで大きく左右されるものではありません。
実例:他国の財政赤字とその結果
アメリカは2020年のコロナ対策でGDP比20%を超える大規模な財政赤字を計上しましたが、経済成長と雇用回復を同時に達成しました。これにより米国債の信認が下がるどころか、ドルの国際的地位はむしろ強化されました。
一方、ギリシャのようにユーロ建てで国債を発行していた国は通貨発行権を持たないため、市場の信認が低下すると即座に危機に陥りました。日本とは根本的に事情が異なります。
インフレの懸念と現実的なコントロール手段
大規模な国債発行や減税が「インフレを招く」との声もありますが、インフレ率は需給ギャップや通貨の流通速度、賃金水準など複数の要素に影響されます。日本では長らくデフレ傾向が続いており、むしろ物価安定のために積極的な財政支出が求められている状況です。
仮に将来的にインフレが過熱する兆候があれば、日銀の金融政策や税制調整などで制御する手段も十分にあります。
まとめ:数字に惑わされず構造を理解しよう
国債発行や減税によってただちに国の信頼が揺らぐわけではありません。日本の財政には独自の強みがあり、他国の単純な比較で悲観するのは早計です。
社会保障の維持や経済の持続的成長のためにも、必要な時には柔軟な財政政策が重要です。メディアの断片的な報道に振り回されるのではなく、経済の構造と実績をもとに冷静に判断していく姿勢が求められます。

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