FXトレードにおいて、リスクリワードと勝率のバランスは常に議論されるテーマです。特に複利運用を前提とした場合、単なる期待値の比較だけでは見えてこないリスクと成長の関係があります。本記事では、2つの典型的なトレード手法を題材に、どちらが複利において有利に働くのか、データと理論を交えて詳しく解説します。
まずは基本:2つのトレード戦略を比較する
検討する2つの戦略は以下の通りです。
- 戦略A:勝率70%、リスクリワード比1:1
- 戦略B:勝率65%、リスクリワード比1:2
一見すると戦略Bの方が期待値は高く見えます。実際に期待値を計算すると以下の通りです。
戦略 | 期待値 |
---|---|
A | 0.7×1 – 0.3×1 = +0.4 |
B | 0.65×2 – 0.35×1 = +0.95 |
この段階では戦略Bが明確に有利に見えます。しかし、話はここで終わりません。
複利運用の特徴:ドローダウンとリスクの増幅
複利運用では、元本が利益によって増加するため、運用が続くほど1回の損失が与える影響が大きくなる特徴があります。つまり、勝率がやや低い戦略Bは、大きな連敗による資産のドローダウンが成長の妨げになる可能性があります。
たとえば、戦略Bで5連敗すれば、トータルの資産が急激に減少します。逆に戦略Aは勝率が高いため、連敗リスクが小さく、安定した資産曲線を描きやすいのです。
実例で比較:100万円を元手にした場合
以下に、毎トレードで資金の5%をリスクにさらす場合の成長曲線をシミュレーションした例を紹介します(簡略化のため、一定の勝率を前提としています)。
- 戦略A:100万円 → 約180万円(100トレード後)
- 戦略B:100万円 → 約220万円(100トレード後)ただし、途中で40%のドローダウン発生
戦略Bは最終的なリターンは高いものの、心理的・資金的に耐えられるかが重要なポイントになります。
実戦での選択:リターンだけでなく性格との相性も考慮
トレード手法の選択において重要なのは、「数字上の優位性」だけでなく「自分のメンタルがどこまで耐えられるか」という要素です。戦略Bのような高リスク高リターン型は、資金変動のストレスに耐えられない人には不向きかもしれません。
自信を持って継続できる戦略を選ぶことが、複利のメリットを最大限活かす鍵になります。
結論:複利での最適解は“期待値と安定性のバランス”
複利運用におけるトレード戦略の選択は、単に期待値の高いものを選べば良いというものではありません。勝率が高く、ドローダウンの少ない戦略は「安心して継続できる」という点で、実運用において非常に重要です。
そのため、期待値がやや劣っても、安定性に優れる戦略Aの方が、長期の複利運用には適しているケースも少なくありません。もちろん、資金管理や性格、取引頻度によっても最適解は変わります。最終的には、自身のリスク許容度と相談しながら戦略を決定するのが最善と言えるでしょう。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
コメント