大阪・関西万博がもたらすとされる「経済効果◯兆円」という言葉を耳にするたびに、それが実質的なプラスなのか疑問を抱く人も多いのではないでしょうか。今回は、万博の経済効果に潜む“数字のマジック”と、実際に誰が得をして誰が損をするのかを冷静に解説します。
そもそも「経済効果」とは何を意味するのか
経済効果とは、イベントなどをきっかけに生じる直接・間接的な支出の総額や、それによる生産誘発額を指します。たとえば会場建設費、交通整備費、来場者の飲食・宿泊・交通費などが含まれます。
しかしこの数字はあくまで「支出総額」であり、実際の利益や国民生活への還元を直接示すものではありません。言い換えれば、単にお金が動いたというだけで、その支出が国民にとって良いものかは別問題なのです。
国民の財布から出るお金の行き先が変わるだけ?
国内での消費が活発になったとしても、それが「新しい消費」ではなく「他の支出の代替」であるならば、全体としての消費総量は変わらない可能性があります。
例えば、家族旅行の行き先を万博に変えた場合、観光支出は発生しても、他の地域の観光産業は打撃を受けるかもしれません。このように、一部産業が潤う一方で、他の産業が打撃を受けるという“経済のシフト”が起きる可能性があります。
外貨の流入こそが真のプラス
万博のような国際イベントにおける最大の経済的恩恵は、外国人観光客による外貨の流入です。外貨は国にとって“新たに生まれたお金”であり、純粋な経済成長に寄与します。
ただし、2025年の万博ではインバウンド需要の予測が不透明であり、コロナ禍以降の国際移動の回復度合いや治安・物価などの課題もあります。現時点では、確実に大規模な外貨が入ってくるとは言い切れません。
過去の万博はどうだった?実例から学ぶ
1970年の大阪万博では、全国から多くの人が訪れ、日本全体が高度経済成長期の波に乗っていたこともあり、実質的に大きな経済成長に貢献しました。
一方、2005年の愛知万博では、経済波及効果が想定よりも低く、地元の一部産業や地域は潤ったものの、全国的な影響は限定的だったという指摘もあります。
経済効果に期待しすぎるリスク
インフラ整備や建設などで一時的に雇用や需要が生まれることは確かですが、それが終われば反動も生じます。短期的な需要喚起に依存する政策は、長期的には財政負担を増やすだけという側面もあります。
加えて、自治体や国が万博関連の支出を優先することで、他の重要な予算(福祉・教育・地方再生など)が削減されるリスクも見逃せません。
まとめ:万博の経済効果は「質」と「持続性」が鍵
大阪・関西万博の経済効果は、単に数字が大きいからといって安心できるものではなく、「どこからお金が来て、どこに流れて、誰が得をするのか」を見極めることが重要です。
持続的な地域活性化や国際的な評価向上など、本質的な価値を生む仕組みがなければ、万博後には“熱が冷めた”経済が残るだけとなってしまうかもしれません。

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