成長企業の代表的な指標として注目されるのが「毎年10%の増収増益」。こうした企業の株価を評価する際に、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)はどの程度が妥当なのでしょうか?本記事では、成長率に見合った適正なバリュエーション指標について、実例と理論に基づいて解説します。
PERとPBRの基本的な意味と使い方
PER(Price Earnings Ratio)は「株価 ÷ 1株あたり利益(EPS)」で計算され、投資家が利益の何倍までその株にお金を払っているかを示します。PBR(Price Book-value Ratio)は「株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)」で、企業の純資産に対する市場の評価です。
一般にPERは15倍前後、PBRは1倍前後が平均的水準とされますが、成長株にはこれらを大きく上回る水準が適正と見なされるケースがあります。
毎年10%の成長企業に妥当なPER水準とは
10%の利益成長率は、成長株としては中程度のペースですが、安定性があれば評価は高まります。株式投資の世界では、PEGレシオ(PER ÷ 利益成長率)が1倍を切ると割安とされることが多いため、
例えばPERが20倍、成長率が10%の場合、PEGは2倍となり「やや割高」と評価されます。
そのため、成長率10%ならPERは13〜18倍程度が妥当な範囲といえます。これは業種や企業の財務健全性にも左右されます。
毎年増収増益企業におけるPBRの考え方
純資産が年々増えることを前提に考えると、PBRが高めでも正当化されるケースがあります。特に資産効率の高い企業やROE(自己資本利益率)が15%を超えるような企業では、PBRが2〜3倍でも割高ではないと評価されます。
成長と収益性のバランスが取れていれば、PBRが2.0〜2.5倍程度でも妥当といえるでしょう。
実例:10%成長の代表企業とPER/PBR
たとえば、オービック(4684)は過去10年以上にわたり安定した増収増益を記録しています。
同社のPERは概ね20〜25倍、PBRは4〜5倍ですが、自己資本比率が80%超、ROEは15〜20%と高水準のため、これらの数値でも市場は割高と評価していません。
逆に、同様の成長率でも収益性が低い企業はPER15倍程度で留まることもあり、利益の質と安定性が評価の分かれ目です。
バリュエーションの補助に使える指標
- PEGレシオ:成長率に対する割高・割安の判断
- ROE:企業の収益性を見る基準。15%以上は高評価。
- 自己資本比率:企業の財務安全性を示し、50%以上が理想。
これらを総合的に見ることで、表面的なPER/PBRの数字に惑わされず、本質的な評価が可能になります。
まとめ:PER・PBRは成長率とのバランスで考える
毎年10%の増収増益企業では、PERは13〜18倍、PBRは2倍前後が妥当水準の目安です。ただし、業種・財務状況・収益性により調整が必要です。
安易に数字だけで判断せず、成長の継続性や利益の質にも目を向けることが、中長期で成功する株式投資につながります。

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