株式投資を始めたばかりの方にとって、「平均取得価額」や「含み益・含み損」の仕組みは少しややこしく感じるかもしれません。証券口座の表示を見ると評価益が出ているのに、実際の取引を考えると損しているような気も…。この記事では、初心者の方が疑問を抱きやすい「平均取得価額の算出方法」と「指値注文の約定価格の違い」について、分かりやすく解説します。
平均取得価額とは?複数回取引時の“ならし価格”
平均取得価額とは、同一銘柄を複数回に分けて購入した場合の、1株あたりの平均購入単価のことです。たとえば次のような取引をした場合。
- 1回目:1,792円 × 100株 = 179,200円
- 2回目:1,998円 × 100株 = 199,800円
- 合計:200株(購入総額 379,000円)
この場合の平均取得価額は、379,000 ÷ 200株 = 1,895円 となり、証券口座でもこの価格が表示されます。
重要なのは、過去の売却履歴(たとえば2,010円で100株売ったこと)は、平均取得価額には反映されないという点です。あくまで「今保有している株の平均購入価格」が表示される仕組みです。
含み益・含み損は「平均取得価額」で計算される
現在保有している100株に関する評価損益は、平均取得価額と現在の株価との差によって算出されます。たとえば。
- 平均取得価額:1,895円
- 現在株価:1,980円
- 含み益:1,980 – 1,895 = 85円 × 100株 = 8,500円
つまり、「いま持っている株」だけで見れば利益が出ているという意味での含み益です。ただし、「売った・買ったをすべてトータルで見ると損しているのでは?」という疑問ももっともです。これは“実現損益”として別に記録されます。
まとめると。
- 含み損益=現在保有株の評価
- 実現損益=過去の売買から確定した損益
両者は切り分けて考える必要があります。
指値注文は指定価格以下・以上で約定する
次に、指値注文の仕組みについても触れておきましょう。指値とは「この価格で売買したい」と価格を指定する注文方法です。ただし、実際の約定価格は以下のようになります。
- 買い注文:指値以下の価格であれば約定(=指定した価格より安ければOK)
- 売り注文:指値以上の価格であれば約定(=指定した価格より高ければOK)
たとえば「1,998円で買い注文を出した場合」、市場で1,980円の売り注文が出ていれば、1,980円で約定することがあります。このため、指値注文でも実際の約定価格は指定価格より有利になることがあるのです。
実際の利益・損失はトータルで把握しよう
投資では「今の保有株でどれだけ利益が出ているか(含み損益)」と「これまでの売買でいくら儲かったor損したか(実現損益)」の両方を把握することが重要です。
今回の例では、最初の1,792円→2,010円の取引で1万8,000円の利益が出ており、その後1,998円で買い戻して現在株価が1,980円であれば、今持っている株だけで見れば含み損だが、通算ではまだプラスです。
証券会社によっては「通算損益」を確認できる画面もあるため、そちらも併用すると全体の収支が見えやすくなります。
まとめ:平均取得価額と実際の損益は分けて考える
株式投資初心者の方が混乱しやすい「平均取得価額」と「含み損益」は、仕組みを理解すればシンプルです。平均取得価額は現在保有分の“ならし価格”であり、過去の売買の損益はそこに反映されません。
また、指値注文でも、実際の約定価格は市場の状況によって変動する可能性があるため、「なぜこの価格で買えた?」と疑問に思ったときも安心してください。数字の動きに慣れていくうちに、自分の資産状況がより正確に見えるようになります。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
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