マクロ経済学の基本:均衡国民所得の求め方と例題での実践解説

経済、景気

マクロ経済学における「均衡国民所得」は、消費、投資、政府支出といった需要要因が、供給と一致する所得水準を指します。経済の基本構造を理解するために重要な概念であり、計算方法も明確に定まっています。今回は具体例を用いて、均衡国民所得の求め方を丁寧に解説します。

均衡国民所得とは何か?

均衡国民所得(Y)は、総需要(AD)と総供給(AS)が一致する水準の所得のことです。ADは、主に消費(C)、投資(I)、政府支出(G)などから構成されます。式で表すと次のようになります。

Y = C + I + G が基本式です。

消費関数の理解がカギ

消費関数は、C = C₀ + cY の形で表されます。ここで、C₀は基礎消費(所得ゼロでも必要な消費)、cは限界消費性向(所得のうち消費に回る割合)です。

例題では、C₀=30兆円、c=0.75 です。これをもとに消費関数は C = 30 + 0.75Y となります。

具体的な例題とその解き方

問題:完全雇用国民所得は350兆円、基礎消費は30兆円、限界消費性向は0.75、投資+政府支出は50兆円。このとき均衡国民所得はいくらか?

ステップ1:消費関数 C = 30 + 0.75Y

ステップ2:均衡条件 Y = C + I + G = (30 + 0.75Y) + 50

ステップ3:式を整理 Y = 80 + 0.75YY – 0.75Y = 800.25Y = 80Y = 320

したがって、均衡国民所得は320兆円となります。

均衡所得と完全雇用国民所得の比較

例題では完全雇用国民所得が350兆円とされています。一方、算出された均衡国民所得は320兆円で、完全雇用水準を下回っています。

この差は「デフレーションギャップ」と呼ばれ、政府による追加支出(財政政策)や投資促進(金融政策)が必要となる場面です。

よくある誤解と注意点

限界消費性向(c)が1に近い場合、投資の増加は大きな乗数効果をもたらしますが、cが高すぎると貯蓄が減り、資金供給に問題が生じるリスクもあります。

また、均衡国民所得=完全雇用国民所得とは限りません。需給ギャップがある場合、均衡は不完全雇用水準になることもあります。

まとめ:計算の型を覚えれば怖くない

均衡国民所得の計算は、「消費関数+投資・政府支出=所得」という枠組みを理解すれば簡単に解けます。今回の例題のように、数値を代入して式を解くだけで、経済全体の動きを把握する第一歩となります。

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