近年、仮想通貨の取引は個人投資の主流となりつつあります。その一方で、家族間や夫婦間での信頼を前提とした取引がトラブルに発展するケースも見られます。特に購入約束が履行されず、数年後に明るみに出た場合、法的な責任が問われることもあります。この記事では、夫婦間の仮想通貨取引に関連する損害賠償の可能性について、民事訴訟の観点から解説します。
口約束による購入約束は法的効力があるのか
まず重要なのは、仮想通貨の購入に関する「約束」が法的に契約として認められるかどうかです。日本の民法では、書面がなくても契約は成立します。したがって、AさんとBさんの間で「仮想通貨を購入する」という合意があった場合、それは契約とみなされる可能性があります。
ただし、問題はその証明です。LINEのやりとり、メール、通話記録、メモなどが「契約の存在」の証拠として使われることがあります。
共通資金からの出費と信頼関係の法的評価
夫婦間の金銭管理は多くが「共同財布」で行われるケースが一般的です。その中で一方が投資目的で資金を使用するには、原則として双方の合意が前提とされます。しかし、約束していた投資を実行していなかった場合、「信頼関係を侵害した」として不法行為に該当する可能性があります。
このようなケースで裁判になった場合、裁判所は「夫婦の合意内容」「資金管理の実態」「約束がどれだけ明確だったか」などを総合的に判断します。
損害賠償請求は認められるか
損害賠償が成立するためには、次の3点が必要です。
- 契約または信頼に基づく義務があった
- 義務に反して行動し、または行動しなかった
- 結果として損害が発生した
例えば、Aさんが「この資金で仮想通貨を買って利益を得る予定だった」と主張し、その損失が明確(たとえば当時の仮想通貨価格と現在の価格)であるならば、損害として認められる余地があります。
ただし、仮想通貨の価格変動は投機的であるため、期待利益は賠償対象とならない可能性も高く、「元本相当分の損害」に絞られることもあります。
夫婦間訴訟の特殊性と限界
民事訴訟において、夫婦間での損害賠償請求は難しい面もあります。家庭裁判所や調停を通じての解決が推奨されるケースもあり、「夫婦関係の破綻」が前提になることも。
過去には「夫婦間での投資トラブル」が離婚調停の争点となり、金銭的な清算が別途行われた判例も存在します。このように、損害賠償請求は単に民事訴訟の枠にとどまらず、家族関係全体の見直しに発展する可能性がある点に注意しましょう。
まとめ:信頼と証拠が損害賠償請求の鍵
夫婦間であっても、仮想通貨購入に関する約束は法的責任を問われることがあります。鍵となるのは、「明確な合意があったか」と「履行されなかった結果、具体的損害が生じたか」です。
トラブルを避けるためには、金銭管理において書面化や共有の記録を取ることが重要です。すでに問題が生じている場合は、専門の弁護士に相談し、調停や訴訟の準備を進めることをおすすめします。

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