日々の生活の中で、「物価が上がった」と感じることはあっても、「物価が下がった」と実感することはあまり多くありません。この記事では、物価が上がりやすく、下がりにくい構造的な理由について、経済の基本原理や具体的な事例を交えながら解説します。
インフレとデフレの違いとは
まずは基本的な概念の整理です。物価の上昇は「インフレ」、下落は「デフレ」と呼ばれます。インフレは経済成長とともに自然な現象とされており、多くの国の中央銀行は「年2%程度のインフレ目標」を掲げています。
一方で、デフレは景気の停滞を引き起こしやすく、消費者が支出を控え、企業の投資も鈍るため、経済全体が縮小する恐れがあります。
なぜ企業は価格を下げたがらないのか
企業にとって価格を下げることは利益を圧迫する大きな要因です。一度価格を下げてしまうと、顧客はその価格に慣れてしまい、再び値上げするのが困難になる「価格の下方硬直性」という現象が発生します。
たとえば、スーパーで一度牛乳の価格を100円にすると、次回から120円に戻すのは難しく、売上が減るリスクを伴います。そのため、企業はできるだけ価格を下げずに販売量やコスト削減で調整しようとします。
コストプッシュ型インフレが影響する要因
エネルギー価格や原材料費の高騰、人件費の上昇など、外部要因による「コストプッシュ型インフレ」も物価が上がる大きな理由です。特に日本のような資源輸入国では、円安や国際的な需給の影響を強く受けやすいです。
実例として、2022年以降の世界的なエネルギー価格高騰により、電気代やガソリン価格が上昇し、それがあらゆる製品価格に波及しました。
サービス業では価格調整が難しい事情
モノとは異なり、サービス業は人件費が大きなコストを占めており、価格を柔軟に変えるのが難しいです。美容室や飲食店では、原材料や人件費が上がっても価格を簡単に下げることは困難です。
例えば、人手不足でアルバイトの時給を引き上げる必要があると、利益確保のために商品価格を上げざるを得なくなります。しかし、景気が回復しても賃金を下げることは社会的に受け入れられにくいため、価格は据え置きまたは上昇傾向にあるままとなりがちです。
消費者の「慣れ」も下げにくさに拍車をかける
人は一度支払った価格に対して心理的に基準を設け、それより安くなると「お得」、高くなると「損」と感じる傾向があります。そのため、価格が一度上がると、それを正当化する説明やサービスが必要になり、価格を下げる余地が狭まります。
たとえば、宅配ピザのLサイズが常に1,800円だったものが2,000円になった場合、1,800円に戻すことはキャンペーンなどの「特別な理由」が必要になります。
まとめ:物価は「上がりやすく、下がりにくい」構造にある
物価は需要と供給、コスト、心理的要因、制度的な背景などが複雑に絡み合って決定されます。これらの要因が重なることで、物価は上がりやすく、下がりにくい構造になっているのです。
物価の動きを理解することで、日々の消費行動や投資判断においてもより賢明な選択ができるようになります。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
コメント