新NISAのスタートにより、多くの投資家が証券会社の選択を見直しています。特に、楽天証券からSBI証券への移管を検討する人は、ポイント制度の違いやPayPay連携の魅力から移行を考えるケースが増えています。しかし、メリットばかりに注目していると、見逃してしまう「移管によるデメリット」も存在します。本記事では、楽天証券→SBI証券への新NISA移管で注意すべき具体的なポイントを解説します。
1. 新NISAでは口座間の移管が制度上できない
2024年からの新NISAでは、旧NISAと異なり「年間投資枠の口座変更(証券会社の乗り換え)」が基本的にできません。すでに楽天証券で投資した資産(例:160万円)は、SBI証券にそのまま新NISA枠として移すことは制度上不可能です。
つまり、SBI証券で新たにNISA投資をしたい場合、楽天証券とSBI証券の2口座を併用しながら管理する必要があります。この点は移管というより「使い分け」に近く、管理の煩雑さにつながります。
2. 売却→買い直しによる非課税メリットの喪失リスク
新NISA口座で積立済の資産を売却してSBI証券で買い直す場合、売却益に課税はされませんが、非課税枠の再利用は不可です。また、積立中の投信を一旦解約→買い直しすると保有期間の再スタートになり、信託報酬の影響やタイミングによって損失を被ることも。
特に含み益が10%以上あるような場合は、買い直しタイミングによってはその利益をうまく享受できない恐れもあります。
3. 移管手続きの手間と時間がかかる
一般的な証券口座の資産移管(特定口座など)であっても、実際の移管には1〜2週間程度かかります。新NISAに関しては、そもそも「移管」という制度がなく、新たに開設→運用開始という形になるため、手続き自体が別物になります。
また、NISA口座を別の金融機関に変更したい場合は、「金融機関変更届出書」の提出が必要で、変更後1年間は元の金融機関での投資ができなくなるなど、時間的ロスも発生します。
4. ポイント制度の変更で損をする可能性も
楽天証券では「楽天キャッシュ」や「楽天ポイント投資」など独自のポイントサービスが強みです。SBI証券では「Tポイント」「Vポイント」「dポイント」から選べる上に、PayPayポイントとの連携も進んでいます。
ただし、楽天経済圏に強く依存している人にとっては、SBI証券に移ることで生活全体での還元率が下がる可能性があります。PayPayを頻繁に使わない方にはメリットが感じにくい場合も。
5. 複数口座管理による資産全体の見えにくさ
NISAは「1人1口座」ですが、過去の旧NISA口座や特定口座、一般口座と組み合わせると、楽天とSBIの2社で資産が分散されて管理しにくくなる点もネックです。
管理ツールを使えばある程度は補えますが、税務管理やパフォーマンス管理においては一元化された環境の方が明確に有利です。
まとめ:SBI証券への移管はメリットとともに慎重な判断を
楽天証券からSBI証券への移行は、PayPay連携やポイント制度など魅力も多い一方で、新NISAの制度上の制約や資産管理の複雑さなど、見落としがちなデメリットも存在します。
今ある積立資産は楽天証券で保持しつつ、今後の積立分をSBIで始める「併用戦略」も一つの選択肢です。ポイント制度や利便性だけでなく、資産の成長性・制度理解・長期的視点を重視して、移行の是非を慎重に検討しましょう。

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