2018年にトランプ政権が実施した関税政策は、世界の貿易構造に大きな波紋を広げました。中でも、鉄やアルミといった金属資源のリサイクル市場、つまりスクラップ買取価格にも大きな影響を与えました。この記事では、その背景と価格への具体的な影響、そして現在の状況について解説します。
トランプ政権の鉄鋼・アルミ関税とは?
2018年3月、アメリカは国家安全保障を理由に、鉄鋼に25%、アルミに10%の追加関税を課しました。これは米国通商拡大法232条に基づく措置で、輸入依存を減らし、国内製造業の保護を目的としていました。
この関税は日本を含む多くの国に適用され、鉄鋼・アルミ製品の国際取引にブレーキをかける結果となりました。
関税政策がスクラップ価格に与えた影響
関税が発動されると、アメリカ国内では鉄鋼・アルミの価格が上昇しました。その結果、国内メーカーはスクラップをより活用するようになり、スクラップ需要も一時的に高まりました。
一方で、米国の鉄鋼輸出に依存していた国や企業は、輸出先を見直す必要が生じ、特に日本では、スクラップの国内在庫が増加し、買取価格が下落する傾向が見られました。
具体的な価格変動の事例
例えば、関税導入直後の2018年4月頃、日本国内の鉄スクラップ価格は、関税の影響で需要減少の懸念から一時的に1トンあたり2,000円〜3,000円ほど下落しました。
また、アルミスクラップに関しても、リサイクル業者が輸出難に直面し、国内買取価格が不安定化しました。特に混合アルミ系スクラップの価格低下が顕著でした。
中小リサイクル業者への影響
この価格変動は、大手よりも中小のリサイクル業者にとって大きな打撃でした。買い取り価格の下落は利益率の悪化を招き、経営に直結する影響が出たケースもあります。
また、仕入れたスクラップを在庫として抱えるリスクも増し、市況の読み違いによる損失リスクが高まりました。
現在の価格動向と今後の見通し
2021年以降、バイデン政権への移行や中国の鉄鋼輸出政策の変化、世界的な原材料価格の高騰により、スクラップ価格は再び上昇傾向を見せています。
ただし、国際情勢や為替変動、ESG投資の流れなど、金属資源市場は不安定な要素を多く含むため、今後も注意深い市場観察が必要です。
まとめ:関税はスクラップ市場にも波及する
トランプ政権の鉄・アルミ関税政策は、国内産業保護という目的の一方で、国際的なスクラップ流通にも強い影響を及ぼしました。特に日本においては、スクラップ買取価格の下落や流通経路の見直しを余儀なくされるなど、実務面への影響が多く確認されています。
今後の対策として、情報収集と複数販路の確保、そしてグローバルな動向に敏感な戦略立案がリサイクル業界にとってますます重要となるでしょう。

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