REIT(不動産投資信託)の投資対象として人気の高い物流施設。しかし、稼働実態がないにもかかわらず稼働率が100%と記載されるケースもあり、投資判断に悩む方も少なくありません。この記事では、物流REITの稼働率の定義や仕組み、そして投資家が注意すべきポイントについて詳しく解説します。
稼働率100%とは?実は”実稼働”とは違う
REITにおける「稼働率」は、テナントと賃貸契約が結ばれており賃料が発生している割合を示すものであり、実際に倉庫が使われているかどうかは関係ありません。
つまり、車両の出入りがなくても、契約上賃料が支払われていれば、その施設は”稼働中”とみなされ、稼働率100%に反映されるのです。
なぜ使っていない倉庫に賃料を払うのか
こうした状況は、スポンサー企業(REITの親会社など)が空室リスクを抑える目的で、マスターリース契約を用いて一括で物件を借り上げている場合に起こります。
たとえば、物流施設を新築したがテナントが見つかっていない場合でも、スポンサー企業がREITに対して賃料を払い続け、将来的な転貸を目指す仕組みです。この方法により、REITは安定収益を維持できますが、実態としては空室ということもあり得ます。
投資家への影響:見かけの安定性に注意
投資家にとっては、稼働率100%という数字だけを見ると、物件の収益性や需要が高いと誤解しがちです。しかし、マスターリースによる仮想的な稼働は、中長期的には収益の質の低下や空室リスクの先送りに繋がることもあります。
実際に現地で車の出入りがない、テナント募集が継続しているといった情報を加味して、投資判断を行うことが大切です。
マスターリース契約は違法ではない
スポンサー企業が倉庫を借り上げる行為自体は、REIT運営における合法的かつ一般的なスキームです。むしろREITの安定運営を支える手段として活用されており、法的にも問題はありません。
ただし、投資家保護の観点からは、有価証券報告書や運用報告書での開示内容をしっかり確認する必要があります。
不透明な場合はどうすべき?
現地の様子やIR資料とのギャップが気になる場合、IR(投資家向け広報)への直接問い合わせや、EDINET(金融庁の開示システム)での報告書確認がおすすめです。
また、複数のREITを比較することで、より透明性の高い運営をしているかどうかを見極める材料にもなります。
まとめ:表面だけでなく”中身”を見る目を
REITの稼働率100%は、必ずしも実際の使用状況を反映しているとは限りません。物流施設ではマスターリース契約によって空室が覆い隠されることもあります。
投資家としては、数字だけでなく現地の様子、IR開示内容、契約スキームなどの情報を総合的に判断し、中長期でのリスク管理を意識した投資行動を心がけましょう。

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