身内の突然の訃報に伴って発生する相続手続きは、感情的な負担に加えて煩雑な事務も多く発生します。特に証券口座を相続する場合、「凍結された口座から配当金はどうなるのか?」「信託銀行や証券会社からの書類はどう扱うべきか?」といった疑問を抱える方が少なくありません。本記事では、株式相続における配当金の処理方法を中心に解説します。
証券口座の凍結と相続手続きの流れ
被相続人(故人)の死亡届が証券会社に届いた時点で、その証券口座は「凍結」され、新たな売買や出金などの操作はできなくなります。その後、相続人が必要書類を提出することで、名義変更または解約手続きが行われます。
必要書類の一例は以下の通りです。
- 戸籍謄本(被相続人と相続人の続柄確認用)
- 遺産分割協議書または遺言書
- 印鑑証明書
- 証券会社指定の相続手続申請書類
配当金の処理方式と受取先の違い
配当金の受取方法には主に以下の2種類があります。
- 株式数比例配分方式:証券口座内のMRF(マネーリザーブファンド)に配当金が入金される形式
- 登録配当金受領口座方式:特定の銀行口座(通常は本人名義)に振込まれる形式
故人の口座が登録配当金受領口座方式であった場合、銀行口座の凍結により自動振込は停止され、配当金の受け取りが一時的に保留となります。この場合、信託銀行(株式発行会社の株主名簿管理人)から郵送される「配当金領収証」により、相続人が郵便局などで現金受領する必要があります。
信託銀行からの通知と故人宛の郵送物
証券会社に死亡通知を出した後でも、株式の名義変更が完了していない場合、配当金に関する案内や株主通信は引き続き「故人の名前宛て」で届くことが多くあります。これは、名簿上の所有者がまだ故人であるためです。
封書に記載された振込不能の通知や、支払期日内に手続きしなかった場合の失効案内には注意が必要です。放置すると配当金を受け取れないこともあるため、こまめな確認と対応が求められます。
配当金の相続と手続き上の注意点
相続人が配当金を受け取るためには、以下の方法が考えられます。
- 株主名簿管理人(信託銀行)に対して配当金請求手続きを行う
- 証券会社の相続手続きを完了し、名義変更後の口座で再度受領
ただし、配当金の支払期限や保留期間が定められており、期限を過ぎると「失権」することもあるため、早めの対応が必要です。特に中間配当などの場合は支払期間が短くなる傾向にあります。
MRFに入金された場合の扱い
株式数比例配分方式を選択していた場合、配当金は証券口座のMRFに自動的に入金されるため、名義変更手続き完了後に相続人がまとめて引き出すことができます。
ただし、証券口座が凍結されたままではMRFからの引き出しもできません。そのため、証券会社での相続手続きを可能な限り早く完了させることが重要です。
まとめ:配当金は受け取れるが、手続きには期限と段取りがある
故人の株式や配当金は相続人に権利が移りますが、受け取りには証券会社や信託銀行との手続きが必要であり、手続きの遅れは受取不能につながる可能性もあります。配当金の支払方式の確認と、信託銀行からの通知内容を見逃さず、適切に対応することが重要です。状況に応じて、信託銀行や証券会社のカスタマーサービス、または相続に詳しい専門家への相談も検討しましょう。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
コメント