「輸出企業は税金の還付を受けて優遇されている」と感じる方も多いかもしれません。しかし、その背景には国際的に認められた税制の仕組みがあります。本記事では、消費税(付加価値税)と輸出戻し税の仕組み、そしてWTO(世界貿易機関)との関係について詳しく解説します。
輸出戻し税(輸出還付金)とは?
輸出戻し税とは、輸出企業が商品やサービスを海外に販売する際、消費税を課税しない代わりに仕入れ時に支払った消費税を国から還付してもらう制度です。
たとえば、国内で10万円分の部品を仕入れ、消費税1万円を支払った場合、輸出企業はその1万円を国に請求して戻してもらうことができます。これが「輸出還付金」と呼ばれるものです。
なぜ分母が「一株あたりの利益」なのか?
この制度は、消費税が「国内消費に課税する税」であることに起因します。つまり、日本で消費されないもの(=輸出品)には税をかけないのが原則です。
結果として、輸出企業が払った仕入れ分の税を戻すのは「優遇」ではなく、「中立」な処理であり、輸出補助金とは見なされません。
WTOが補助金として認めない理由
WTOは、政府が特定の企業や産業に直接的な金銭支援を行うことを原則禁止しています。ところが、付加価値税の還付は「国内での中立な税処理」の一環として認められており、「補助金」ではないとされています。
これは、日本だけでなくEU各国やカナダ、オーストラリアなどでも同様に行われている制度であり、国際標準的な取り扱いです。
インボイス制度との関係は?
2023年から始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、輸出還付金が正当なものであることを証明する上で重要な仕組みです。
この制度によって、消費税を課す取引とそうでない取引が明確になり、還付請求の透明性と正当性が担保されるため、WTOに対しても「これは補助金ではない」と立証しやすくなります。
輸出戻し税をなくすには消費税の廃止しかない?
実質的にその通りです。なぜなら、消費税は「仕入れ税額控除」という制度を内包しており、輸出に際しても適用されます。消費税そのものを廃止すれば、仕入れ税額控除も輸出還付金も発生しなくなります。
ただし、消費税を廃止すると、代わりの税収をどうするかという問題が発生するため、現実的には難しい選択肢です。
まとめ:制度の本質を理解し、誤解を防ごう
輸出戻し税は、補助金ではなく、付加価値税という国際的に標準の税制度に基づいた処理です。WTOもその仕組みを認めており、不正や優遇措置ではないと理解されています。
インボイス制度の導入によって、これらの還付請求もより透明で制度的に整合性のあるものになります。制度の目的や背景を正しく理解することが、経済や税制を読み解く第一歩です。

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