資本収支の赤字とは?米国が債券を売って黒字になるわけではない理由をわかりやすく解説

経済、景気

国際収支や資本収支という言葉をニュースで見かけても、実際にどういう意味なのか理解するのは簡単ではありません。たとえば「米国が外国に債券や株を売って資金が流入するなら黒字なのでは?」と思ってしまうのも自然なことです。しかし実際には、この資金流入は「資本収支の赤字」として記録されます。本記事では、その理由をわかりやすく解説します。

国際収支とは何か?

国際収支とは、ある国と海外のあいだでやり取りされるすべての経済取引を記録した統計です。大きく分けて「経常収支」「資本移転収支」「金融収支(資本収支とも)」の3つで構成されます。

このうち、国債や株式などの金融資産の取引は「金融収支(資本収支)」に分類されます。つまり、外国人が米国の債券を買うと、それは米国にとっての資本収支の赤字となります。

「赤字」とはどういう意味か?

ここでの「赤字」は、家計簿的な意味の「お金が足りないから赤字」ではなく、「資産が流出している or 外国から資金が流入している」ことを指します。

米国が債券を外国人に売ると、外国から米国にお金が入ってきます。これは会計上、「資産を差し出して、資金を得た」ので、資本収支では“赤字”と記録されます。

逆に黒字になるのはどんなとき?

資本収支が黒字となるのは、米国が外国の資産を買うとき、すなわち米国のお金が海外に流れるときです。これは「外国の資産を買った=資産を得た」ことになるため、プラス=黒字として記録されます。

たとえばApple社がアイルランドの証券を買えば、それは米国の資本収支黒字です。

例でわかる!資本収支の仕組み

例1:外国人が米国の国債を買う
→米国にお金が入る
→米国が外国に資産(国債)を売った
→米国の資本収支「赤字」

例2:米国人が日本株を買う
→米国のお金が出ていく
→米国が外国の資産を買った
→米国の資本収支「黒字」

「赤字=悪いこと」ではない

この「赤字」は、会計上の記録であって必ずしも悪い意味ではありません。むしろ、米国の資本収支が赤字であるということは、世界が米国に投資していることの証であり、米国の信用力の高さを示しているとも言えます。

会計用語での「赤字・黒字」は、資金の出入りを記録する便宜上の分類であり、企業の損益とは意味が異なります。

まとめ:米国にお金が流れ込む=資本収支は赤字

「外国人が米国の債券や株式を買うと、資金は米国に流入する」──これは正しい理解です。しかしその会計処理上、米国が資産を売った=資本収支では“赤字”と記録されるのです。

この仕組みを理解すれば、国際ニュースや新聞記事の表現にも納得がいくようになります。経済学の素人考えではなく、非常に自然な疑問でした。

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