信用取引の中でも「信用売り(空売り)」は、投資家にとってリスクヘッジや下落相場での利益獲得手段として活用される重要な手法です。ただし、信用売りが可能な銘柄には一定の制限があり、「貸借銘柄」であるかどうかが大きなポイントとなります。この記事では、証券会社が貸借銘柄に対してどのように信用売りを取り扱っているのか、制度面と実務面から詳しく解説します。
信用取引における「貸借銘柄」とは?
信用取引で空売りが可能な銘柄は、「貸借銘柄」と呼ばれます。これは、証券金融会社が株式の貸借を行う制度信用取引に対応する銘柄で、毎月JPX(日本取引所グループ)などが指定・更新しています。
一方、「非貸借銘柄」は制度信用取引では空売りができず、一般信用取引による貸株でのみ可能となる場合があります。
証券会社による信用売りの取り扱い
証券会社は、基本的に貸借銘柄に限って「制度信用取引」での空売りを提供しています。つまり、制度信用での空売りができるのは、証券金融会社から借りられる株がある=貸借銘柄に限られます。
ただし、一部の証券会社では、一般信用取引によって非貸借銘柄でも信用売りが可能な場合があります。これは証券会社が自社の保有株などを貸し出す「一般信用売建」の仕組みです。
制度信用と一般信用の違い
信用取引には大きく分けて「制度信用取引」と「一般信用取引」の2種類があります。
項目 | 制度信用取引 | 一般信用取引 |
---|---|---|
空売り対象 | 貸借銘柄のみ | 証券会社が設定する銘柄 |
返済期限 | 原則6ヶ月 | 無期限または証券会社が指定 |
貸株料 | 固定(市場で決定) | 証券会社が設定 |
たとえば、楽天証券やSBI証券などでは、一般信用の売建可能銘柄として独自にリストを設けており、非貸借銘柄でも空売りが可能です。
実例:貸借銘柄と空売り可能性の関係
たとえば「トヨタ自動車(7203)」は貸借銘柄であり、制度信用でも一般信用でも空売りが可能です。一方で、マザーズやスタンダード市場の一部銘柄は非貸借銘柄であり、一般信用取引でしか空売りできないケースがあります。
証券会社ごとに空売り可能銘柄のリストが異なるため、取引の前には必ず該当証券会社のウェブサイトで確認することが重要です。
まとめ:信用売りの可否は銘柄と証券会社に依存
信用売りは制度信用なら貸借銘柄に限定、一般信用なら証券会社の取り扱いにより柔軟に行える仕組みです。
そのため、「証券会社が貸借銘柄でも信用売りをできるか?」という問いに対しては、制度信用では可能、一般信用でも多くの場合可能という答えになります。
取引の際は、制度・一般の違いや証券会社の信用取引ガイドラインを事前に確認することで、より安全かつ戦略的に信用取引を活用できます。

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