インデックス投資は本当に「複利で増える」のか?誤解されがちな仕組みと正しい理解

資産運用、投資信託、NISA

「インデックス投資は複利で増える」とよく耳にしますが、この表現に疑問を持つ方も少なくありません。確かに、定期預金のような金利ベースの複利と同一視すると誤解を招く可能性があります。しかし、長期的な資産形成において複利的な効果が発揮されるのは事実です。本記事では、インデックス投資における複利の本質と、混同されやすいポイントを整理して解説します。

「複利」とはそもそもどういう仕組みか?

複利とは、利息が元本に加算されて再び利息を生む仕組みです。たとえば年利5%で100万円を運用した場合、1年後には105万円に増え、次年度は105万円に対して利息がつきます。これが「利息に利息がつく」という複利の力です。

この考え方がシンプルに通用するのは、預金や債券のように一定の利率でリターンが得られる商品においてです。では、価格が変動する株式型のインデックスファンドではどうなるのでしょうか。

インデックス投資は「自動的に複利」ではない

インデックス投資で言う複利効果とは、「分配金を再投資すること」「資産価格の上昇に再投資が組み合わさること」によって、資産が雪だるま式に増えていく現象です。

つまり、分配金を使ってしまえば複利効果は薄れますし、株価が下落すれば複利どころか元本割れも起こります。よって「放っておけば勝手に複利で増える」というのは誤解です。

「インデックス=複利」と誤認される理由

ネットやSNSでは「S&P500を20年放置しておけば複利で資産倍増」といった言説が多く見られます。しかしこれは、あくまで平均成長率(年平均リターン7%程度)を想定したシミュレーションに基づくものであり、現実の値動きはもっと複雑です。

また、複利運用=元利再投資が前提なので、配当再投資をせずに現金化していれば、複利効果はほとんど期待できません。

実例:複利効果が働く投資の具体的イメージ

たとえば、年間リターン5%、分配金を全額再投資した場合、元本100万円は20年後に約265万円になります。これは「100万×(1.05)^20」による複利計算です。

一方、分配金を都度使ってしまった場合、元本は大きく増えにくく、元利再投資との差は数十%以上に広がることがあります。

長期・分散・再投資こそが「複利の正体」

インデックス投資で複利効果を得たいなら、再投資を継続し、長期で運用することが不可欠です。価格変動がある資産であっても、リターンを再び投資に回すことが複利に相当する行動なのです。

再投資型のインデックスファンド(例:S&P500連動型で分配金再投資型)を活用すれば、知らず知らずのうちに複利の効果を得ていることもあります。

まとめ:インデックス投資の複利は「再投資」がカギ

インデックス投資は確かに「複利的」な運用が可能ですが、それは投資家の行動次第で実現されるものです。利息が勝手に増える預金とは異なり、分配金や利益を再び投資に回す「再投資の意識」があってこそ、複利の恩恵が得られます。

したがって、「インデックス投資=自動で複利」という考えはやや短絡的です。複利の本質を理解し、長期かつ再投資を継続する姿勢こそが、資産形成において最も重要なのです。

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