信用取引は、自己資金にレバレッジをかけて効率的に運用できる一方で、税務上の取り扱いには独特なルールが存在します。特に確定申告時に重要となる「収入金額」と「取得額」の定義を理解することは、正確な納税や損益通算の判断に欠かせません。
信用取引における「収入金額」とは?
「収入金額」とは、売却時の受取金額(売却価格)を指します。つまり、信用取引で株式を売却した際に実際に得られた金額のことです。
たとえば、空売り(信用売り)で株価1,000円の銘柄を100株売却した場合、収入金額は10万円となります。この収入金額は、利益だけでなく元本や手数料も含まれた額であり、後述の「取得額」との比較により課税対象となる利益額が算出されます。
「取得額」の意味と計算方法
「取得額」とは、信用取引におけるポジションの取得コストを指し、以下の要素が含まれます。
- 買建時:購入時の株価 × 株数 + 手数料等
- 売建時:返済時の株価 × 株数 + 手数料等
たとえば、信用買いで株価950円のときに100株購入し、手数料が500円かかった場合、取得額は95,500円になります。
損益は「収入金額 – 取得額」で算出
信用取引の損益は、収入金額から取得額を引くことで求められます。例として以下のようなケースを見てみましょう。
例1:信用買い
買い:950円×100株=95,000円(手数料500円含む取得額:95,500円)
売り:1,000円×100株=100,000円(収入金額)
→ 利益:100,000円 – 95,500円 = 4,500円
例2:信用売り
売り:1,000円×100株=100,000円(収入金額)
返済買い:950円×100株=95,000円(手数料500円含む取得額:95,500円)
→ 利益:100,000円 – 95,500円 = 4,500円
確定申告では「収入金額・取得額」をしっかり記録
年間取引報告書などに記載される「収入金額」と「取得額」は、確定申告書(特に分離課税による所得税申告)にそのまま反映されます。
誤って記載すると、本来よりも多く税金を払うリスクや、損益通算を正しく受けられない可能性があります。証券会社の年間報告書や取引履歴を保管しておくことが重要です。
信用取引と現物取引での相違点
現物取引では取得額=購入代金とシンプルですが、信用取引は「返済(決済)」があるため取得額の定義がやや複雑になります。また、信用取引は金利や貸株料が発生するため、これらを考慮した実質損益を意識することが求められます。
まとめ:収入金額と取得額を理解し、正しい納税へ
信用取引において「収入金額」は売却額、「取得額」は購入時の原価+手数料と覚えておくと、損益の計算がスムーズになります。確定申告の際には年間取引報告書を活用し、間違いのない記載を心がけましょう。
税務処理や計算に不安がある場合は、税理士や証券会社のサポートサービスを活用するのもおすすめです。

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