日本の消費行動と経済格差：中古品選択の背景にある現実

経済、景気

2025.05.20

近年、日本における消費行動において、中古品の選択が増加しています。これは単なる節約志向の表れではなく、経済的な背景が影響している可能性があります。特に、生活費の上昇や所得の停滞が、消費者の購買行動に変化をもたらしています。

生活の厳しさを感じる世帯の増加

厚生労働省の調査によれば、2023年には約60%の世帯が生活が「苦しい」と感じており、前年より8.3ポイント増加しています。特に、子育て世帯や高齢者世帯でその割合が高く、生活費の上昇が家計を圧迫していることが示されています。

日本では、1980年代以降、所得の格差が拡大しています。特に、女性や高齢者の就業が増加しているものの、多くが低賃金の非正規雇用に従事しており、所得の安定性に課題があります。これにより、消費を控える傾向が強まり、中古品の需要が高まっていると考えられます。

高齢者、特に単身女性の貧困率が高いことも指摘されています。調査によれば、65歳以上の単身女性の約44.1%が貧困状態にあり、これは単身男性よりも高い割合です。年金だけでは生活が難しく、中古品を選択することで生活費を抑える必要がある状況です。

日本の子どもの貧困率は約14.8%で、OECD諸国の中でも高い水準にあります。特に、ひとり親家庭ではその割合が高く、子どもたちの教育や生活環境に影響を及ぼしています。家庭の経済的な事情から、新品の購入を控え、中古品を選ぶケースが増えています。

政府は、最低賃金の引き上げや中小企業への支援など、所得向上を目指す政策を進めています。しかし、非正規雇用の増加や高齢化社会の進展により、効果が限定的であるとの指摘もあります。今後は、より包括的な社会保障制度の整備や、雇用の安定化が求められます。

日本における中古品の選択増加は、経済的な要因が大きく影響しています。生活費の上昇や所得の停滞、非正規雇用の増加などが、消費者の購買行動に変化をもたらしています。今後、経済格差の是正や社会保障の充実が、消費行動の改善につながることが期待されます。

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