関税発動前なのに株価が上昇?日経平均の”不可解な強さ”に潜む投資家心理と仕掛けの構造

株式

関税の発動や経済リスクが目前に迫っているにもかかわらず、株価が逆行するように上昇する場面は少なくありません。特に日経平均が「上がるはずがない」と思われる局面でしつこく上昇を続けると、投資家は困惑し、損切りやロスカットに追い込まれることもあります。この記事では、そうした相場の動きの背景にある要因や、ショートポジションの巻き戻しの仕組みについて詳しく解説します。

市場がネガティブ材料を無視して上がる理由とは?

一般的に、関税の引き上げなどの悪材料は株価下落の要因になると考えられます。しかし、マーケットはしばしば”織り込み済み”の動きをします。すでにニュースとして出尽くしている悪材料は、相場に事前に反映されていることが多く、実際の発動直前では買い戻しが優勢になるケースもあります。

また、ヘッジファンドや機関投資家が「材料出尽くし」を見越して先回りの買いを入れることも多く、結果として”下がると思われていたのに上がる”という現象が起こります。

ショートポジションの巻き戻しと”踏み上げ”の仕組み

相場が下がると予想して空売り(ショート)を仕掛けた投資家が多い場面で、想定に反して株価が上がり始めると、「踏み上げ相場」が発生します。これは、空売りをしていた投資家が損失を回避するために買い戻しを行うことで、さらなる株価上昇を招く現象です。

例えば、日経平均が関税発動前日に大きく上昇した背景には、多くの投資家が”明日は下がる”とショートポジションを取っていたため、逆方向への動きが起きた際に一気に買い戻しが入り、上昇に拍車がかかったと考えられます。

アルゴリズム取引や仕掛け的な買いの影響

最近では、AIやアルゴリズムによる高速取引も相場に大きな影響を与えています。一定の価格水準を上抜けたタイミングで自動的に買いが入るよう設計されたプログラムが市場には数多く存在しています。

そのため、特定のテクニカルライン(例:移動平均線、直近高値)を突破すると一斉に買いが入り、”しつこいほどの上昇”を演出することがあります。これもまたショート勢の損切りを誘発し、連鎖的に株価が上昇する要因の一つです。

実例:過去の踏み上げ相場とその背景

2020年3月のコロナショック後にも同様の現象がありました。当初は悲観ムードが漂っていたものの、FRBの政策や米国政府の経済対策発表を受けて、ショートポジションが一気に巻き戻され、ナスダックを中心に株価がV字回復しました。

日本市場でも、消費増税や地政学的リスクなどの材料が控えている場面で逆行高が見られることがあり、背景にはやはり”過度なショート”とそれに伴う”踏み上げ”が存在しています。

トレーダーが注意すべき心理的トラップ

「明日は確実に下がる」との予想がマーケット参加者に広がっているときほど、相場は逆に動く傾向があります。大衆心理に流されてポジションを取ると、逆行相場で損切りを迫られるリスクが高くなります。

こうした局面では、テクニカル分析や需給の読み、オプション市場の動向も確認することが重要です。感情ではなく、冷静なデータ判断が損失回避につながります。

まとめ:上昇の背景には常に”理由”がある

明確な悪材料があっても株価がしつこく上昇する場面では、「材料出尽くし」や「踏み上げ」、アルゴリズムの仕掛け的買いなど、複数の要因が重なっているケースが多いです。

相場には”合理的に動かないことがある”という前提で、柔軟に対応できる視点とポジション管理が求められます。特にショートポジションを取る際は、リスクコントロールを十分に行い、損切りラインを明確にしておくことが重要です。

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