経済学や公民の授業で登場する「国民所得(NI)」という言葉。聞いたことはあるけど、具体的に何を指すのかよくわからないという人も多いかもしれません。この記事では、国民所得の基本的な意味から、それがどのように算出されるのか、さらには「三面等価の原則」との関連について、実例を交えながらわかりやすく解説します。
国民所得(NI)とは何か?
国民所得とは、1年間に国民全体が新たに生み出した富(所得)の合計を示す指標です。もっと簡単に言えば、国民が1年間でどれだけお金を稼いだかを表す数字です。
ただし「お金を稼いだ」といっても、単に現金収入だけでなく、企業の利益や政府の公共サービスの価値なども含めた広い意味での“所得”を対象とします。
NIとGDPの違い
よく似た用語に「GDP(国内総生産)」がありますが、違いは次のようになります。
- GDP:日本国内で生み出された付加価値の合計
- NI:日本国民(法人・個人)が得た所得の合計
たとえば、外国企業が日本国内で稼いだ利益はGDPには含まれますが、NIには含まれません。逆に、日本企業が海外で稼いだ利益はGDPには含まれませんが、NIには含まれます。
三面等価の原則とは?
「三面等価の原則」とは、生産・分配・支出の3つの面から経済活動を見ても、最終的には同じ金額になるという考え方です。具体的には以下の3つの数字が一致します。
- 生産面(生産国民所得):産業が生み出した付加価値の合計
- 分配面(分配国民所得):雇用者報酬、企業所得などの分配された所得
- 支出面(支出国民所得):消費支出、投資、政府支出など
つまり、「何かを作る → 誰かの所得になる → 誰かがそれを買う」という経済の流れは、どこから見ても金額的には同じになるということです。
具体例でイメージしてみよう
例えば、パン屋さんが1年間で1,000万円の売上を出したとします。この金額から材料費などを差し引いた500万円が付加価値、つまり生産国民所得になります。
この500万円は従業員の給料(雇用者報酬)や店主の所得(営業利益)として分配され、誰かが使う(支出)ことで経済が循環します。これが三面等価のイメージです。
国民所得の算出に用いられる指標
国民所得を構成する具体的な項目としては、次のようなものがあります。
- 雇用者報酬:労働者の賃金や手当
- 営業余剰:企業が得た利益
- 財産所得:利子や配当など
- 間接税-補助金:消費税などの税収から補助金を引いた金額
これらをすべて足し合わせて国民所得が算出されます。
なぜ国民所得が重要なのか?
国民所得は、国の経済力や国民の生活水準を測るうえで非常に重要な指標です。政府が景気対策を行うときや、税制の見直し、年金制度の設計などにもこの数字が使われます。
また、経済成長を測るために毎年発表される「実質国民所得」は、物価の影響を取り除いて実質的に国民がどれだけ豊かになったかを表す指標です。
まとめ:三面等価で経済の全体像をつかむ
国民所得(NI)は、国民が1年間でどれだけの所得を得たかを示す重要な指標であり、経済全体を「生産」「分配」「支出」という3つの面から捉える三面等価の原則によって成り立っています。
一見難しそうに見える経済指標も、日常生活や企業の活動と結び付けて考えることで理解が深まります。経済ニュースを見る際も、この知識があれば一歩先の理解ができるでしょう。

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