マクロ経済において、国民所得と消費、投資の関係は重要な要素です。今回は、国民所得が消費と投資から成る経済において、均衡国民所得を維持するために必要な投資拡大量を計算する問題を解説します。このような問題は、マクロ経済学の基本的なモデルである『乗数効果』の理解が必要です。式を使った計算方法とその答えをわかりやすく説明します。
問題の整理:消費関数と投資の状況
問題の設定は以下の通りです。
- 消費関数はC = 20 + 0.8Y
- 投資額はI = 40
- 完全雇用での国民所得水準はY = 350
ここで、国民所得を均衡させるためには、消費と投資が合わさった総需要(Y)が国民所得と等しくなる必要があります。
まず、この状況での均衡国民所得を計算し、その後、完全雇用での国民所得を達成するために、投資をいくら拡大すれば良いかを求めます。
均衡国民所得の計算
均衡国民所得の式は次のように表されます。
Y = C + I
消費関数を代入すると、次のような式になります。
Y = (20 + 0.8Y) + 40
これを整理すると。
Y – 0.8Y = 60
0.2Y = 60
Y = 60 / 0.2 = 300
現在の均衡国民所得は300となります。
完全雇用での国民所得を達成するための投資拡大
完全雇用での国民所得水準はY = 350です。つまり、現在の均衡国民所得300から350に引き上げるために必要な投資を計算する必要があります。
このような場合、乗数効果を利用します。乗数(k)は、次のように求められます。
k = 1 / (1 – 消費性向)
消費性向は0.8なので。
k = 1 / (1 – 0.8) = 1 / 0.2 = 5
次に、追加的な国民所得の増加分(350 – 300 = 50)を達成するために必要な投資の増加分を求めます。
ΔI = ΔY / k = 50 / 5 = 10
したがって、投資を10拡大させる必要があります。
まとめ:必要な投資拡大量は10
今回の問題では、完全雇用での国民所得水準を350にするためには、投資を10拡大させる必要があることがわかりました。消費性向と乗数効果を利用することで、投資が経済全体にどのような影響を与えるかを理解することができます。マクロ経済学の基本的な概念を押さえることで、より複雑な経済の仕組みを理解しやすくなります。
こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
コメント