年末が近づくと話題に上がるのが、株式投資における節税対策としての「損出し」ですが、同時に同一銘柄を買い戻すことで失敗するケースも少なくありません。特定口座やNISA口座を活用する場合、それぞれに注意点があるため、正確な理解が求められます。
「損出し」とは?節税対策の基本
損出しとは、保有している含み損銘柄を売却して、確定損失として譲渡益と相殺し、税負担を軽減する方法です。特定口座であれば証券会社が自動的に損益通算や年間損益報告書の作成を行ってくれます。
たとえば年間で100万円の利益が出ていて、30万円の損失を損出しによって確定させれば、実質課税対象は70万円となります。
特定口座内での「損出し+買い戻し」の落とし穴
同一日に同一銘柄を売却して再購入すると、税務上は「買い直し分の取得価格が調整され、損失が認められない」ケースがあります。これを「損失の繰越否認」といい、税制上のグレーゾーンとして扱われやすいため注意が必要です。
安全策としては、売却してから最低2営業日以上空けて買い戻すことで、明確に取引が分離されたと判断されやすくなります。
NISA口座を使って同一銘柄を買い戻す場合の注意点
特定口座で損出しを行ったあとに、NISA口座で同一銘柄を買い直す場合、形式上は別口座での取引になるため、損出しは有効とされることが多いです。
ただし、税務当局が「実質的に損失を回避している」とみなした場合、否認される可能性もゼロではありません。形式面ではクリアしていても、短期間の同一銘柄再取得には慎重さが求められます。
実際のスケジュール例で確認
たとえば12月20日に特定口座でA社株を損出し目的で売却したとします。翌日の12月21日にNISA口座で同じA社株を購入した場合、別口座であるため形式的には通算可能ですが、日付が近すぎると意図的な「クロス取引」と判断されることもあります。
このリスクを避けたい場合は、最低でも2日〜3日程度空けて、売却日と再取得日のタイミングをずらすのが推奨されます。
損出しのポイント:複数口座・異なる証券会社も活用を
損出しを確実に成立させたい場合、同じ証券会社のNISA口座よりも、別の証券会社でNISAを開設し、そちらで買い戻す方法がより安全です。税務上の関連性が薄くなるため、否認されにくくなります。
また、損出し対象銘柄を売却後は、同じ業種や類似銘柄に一時的に資金をシフトする戦略も有効です。これにより市場への影響を最小限に抑えながら節税が図れます。
まとめ:賢い損出しには「タイミング」と「形式」が鍵
損出しを成功させるためには、「売却と再取得のタイミング」「口座の区分」「税務上の形式的独立性」を正しく理解することが重要です。同一銘柄を即時買い戻すのはリスクがあるため、数日空けるか、NISAや他証券会社を活用するのが現実的な選択肢となります。
節税のつもりが否認されてしまっては本末転倒です。ルールを守りつつ、資産効率を高める戦略的な運用を目指しましょう。

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