ミクロ経済学における「最適消費計画の比較静学分析」は、消費者行動を理解するうえで非常に重要な分野です。この記事では、よく出題される設問例を通して、正常財・下級財・相対価格といったキーワードの意味を整理し、間違えやすいポイントについても解説します。
最適消費計画と比較静学分析の基本
最適消費計画とは、限られた所得の中で効用(満足度)を最大化するように財を選択することを指します。そして比較静学分析とは、所得や財の価格が変化したときに消費行動がどう変化するかを分析する手法です。
この分析では、所得効果や代替効果、相対価格の変化などが重要な要素となります。
選択肢(1)の確認:価格低下と実質所得
選択肢(1):所得が変化しない状態で、財価格が低下する場合、実質所得は増加する。
これは正しい記述です。たとえば、パンの価格が下がると、同じ所得でもより多くのパンを買えるようになります。これは実質的に購買力が高まった=実質所得が増加したとみなされます。
選択肢(2)の確認:所得低下と正常財
選択肢(2):所得が低下した場合に、その消費量が減少する財は「正常財(上級財)」である。
これも正解です。正常財(上級財)とは、所得が上がると消費量が増え、所得が下がると消費量が減る財のことです。たとえば、外食やブランド品などが該当します。
選択肢(3)の確認:所得上昇と下級財
選択肢(3):所得が上昇した場合に、その消費量が増加する財は「下級財」である。
これは誤りです。下級財とは、所得が上がると消費量が減る財のことであり、所得が増加しても消費量が増える財は「正常財」です。
たとえば、インスタント食品や割安な公共交通などが下級財に該当することがあります。所得が増えるとより高品質な代替品に切り替えるため、これらの消費が減る傾向にあります。
選択肢(4)の確認:相対価格の変化
選択肢(4):ある財の価格が変化する場合、相対価格だけの変化が消費者の行動に影響する。
これも正しい記述です。相対価格とは、ある財の価格が他の財に比べてどう変化したかを示す指標で、消費者の選択に大きく影響します。たとえば、牛肉と豚肉が同じ価格だったのに、牛肉だけが高くなると、豚肉を選ぶ人が増えるのが典型例です。
実例で理解を深めよう
例えば、所得が20万円の家庭が、月に5,000円を使って即席ラーメンを購入していたとします。所得が30万円に増加した際に、ラーメンの消費を3,000円に減らし、代わりに外食費を8,000円に増やしたとすると、ラーメンは下級財、外食は正常財と判断されます。
まとめ:選択肢の正誤をおさらい
最適消費の比較静学分析における正誤判定は以下の通りです。
- (1)正しい:価格低下=実質所得増加
- (2)正しい:所得低下で消費減少=正常財
- (3)誤り:所得上昇で消費増加するのは正常財
- (4)正しい:相対価格の変化が消費に影響
したがって、誤っているのは選択肢(3)です。このように、財の分類や価格・所得の変化が消費行動に与える影響を正しく理解することが、ミクロ経済学の基礎力を高める鍵となります。

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