子供の成長に合わせて資産形成をサポートする目的で、ジュニアNISAや成人後のNISA口座に資金を移すことを検討する親御さんは増えています。しかし、その過程で「贈与税」の課税対象となる可能性があるため、税務上の正しい手順と注意点を把握しておくことが重要です。本記事では、2つの具体的なケースを例に挙げ、贈与に当たるか否か、課税を回避する方法をわかりやすく解説します。
贈与税の基本と年110万円までの非課税枠
日本の税法では、年間110万円までは贈与税が非課税となる「基礎控除」が設けられています。これを活用すれば、毎年少額ずつ資産を子供へ移転することが可能です。ただし、この枠を利用するには形式的にも「贈与」であることが証明できる必要があり、口頭でのやり取りや単なる資金移動では贈与と認定されないことがあります。
このため、「贈与契約書」の作成や、子供名義の銀行口座への振込記録を残すことが推奨されます。
ケース①:年110万円以下の贈与契約書による運用
この方法は贈与税の非課税枠を適切に使った形式であり、実務上も多く用いられています。毎年ごとに贈与契約書を交わし、資金の移転が子供自身の通帳や証券口座で管理されていれば、課税リスクは極めて低くなります。
注意点として、名義は子供でも実質的に親が運用・管理していると税務署に判断された場合、「名義預金」とされて贈与と認定される可能性があるため、通帳や証券口座の管理を子供自身にさせることが理想です。
ケース②:親が管理して子供名義で運用し、後年に一括引出し
この場合、形式上は子供のNISA口座で運用していても、実質的に親が運用を主導・管理しているとみなされる可能性が非常に高くなります。税務署は「実質課税の原則」に基づき、管理者=所有者と判断することがあるため、数年後に子供が一括で引き出した際に、多額の贈与とみなされる恐れがあります。
特に、数千万円単位の資産移転が発覚した場合は税務調査の対象にもなりやすく、多額の追徴課税が発生する可能性があるため、避けるべきリスクの高い方法です。
贈与税を回避する合法的な手段
- 毎年の贈与契約書の作成:手書きでも構わないが、日付、贈与者・受贈者の署名・捺印、贈与金額を明記すること。
- 通帳・証券口座は子供名義:親が管理するのではなく、子供自身に運用の主体性を持たせる。
- 使途の自由を確保:贈与後の資金の使い方を親が指定すると、「貸付金」や「預かり金」と見なされるリスクがある。
なお、NISAに関しては税務署が情報を把握しやすいため、透明性の高い運用が求められます。
子供が18歳以上でNISA口座を開設する場合の留意点
2024年から始まった新NISA制度では、成人(18歳以上)であれば通常のNISA口座を開設できるようになりました。この場合でも、資金提供が「親の判断と管理」によるものであれば、税務署の調査対象となる可能性があります。
証券会社によっては、贈与契約書の有無を確認するケースもあるため、事前に金融機関と相談しておくと安心です。
まとめ:形式と実質の両面で「贈与の証拠」を残すことが鍵
子供のNISA口座を活用した資産移転は、将来に向けた賢い選択ですが、贈与税のリスクを避けるには、「形式的な書類」と「実質的な管理の分離」の両面が不可欠です。
税務署は「誰がその資金を管理・支配しているか」に着目して判断します。しっかりと証拠を整え、贈与の意図と実行の正当性を明確にすることで、安全かつ効果的に子供の資産形成を支援することができます。

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