なぜ与党は消費税廃止・無制限の国債発行に踏み切れないのか?参議院選反発の背景を読み解く

経済、景気

参議院選で「消費税は社会保障の財源」という説明に対する反発が強まり、一部では「消費税を廃止して国債をガンガン発行すべきだ」との声もあります。しかし、現実には与党がその主張に乗り切れないのには理由があります。本記事では、財政赤字リスク、格付け影響、社会保障財源の仕組みという観点から、その背景をわかりやすく解説します。

消費税が担う役割:社会保障の安定財源としての位置づけ

消費税収は年金・医療・介護・子育て支援などの「全世代型社会保障」に充てられ、2025年度には24.9兆円が社会保障関連費38.3兆円の大部分に使われています([参照])

これは安定した税収源として重要性が高く、消費税がなければ、社会保障制度に大きな穴が開く構造です。

国債で減税を実現できるのか?財政上の限界

野党や一部勢力は「財源なき消費税減税・廃止」を主張していますが、石破首相は国会で「日本の財政はギリシャより悪く、財源を示さぬ国債発行には賛同しかねる」と明言しています([参照])

日本の公債残高はGDP比250%超であり、国債市場の信頼を維持するためにも無制限な発行は難しい状況です([参照])

Moody’sも警告:減税が引き起こす評価リスク

格付会社Moody’sは、「消費税減税の影響は規模・持続性による」とし、財政赤字が続けば日本の格付を引き下げる可能性があると指摘しています([参照])

格付けの低下は国債利回り上昇や円安、不安定な資金供給リスクを招き、金融市場に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

「減税ポピュリズム」との批判と政策の持続可能性

東京財団などでは、選挙目当てに「減税・給付」を打ち出す近視眼的な政策を「減税ポピュリズム」と呼び、将来的な負担を先送りする懸念を指摘しています([参照])

代替財源を明らかにせず国債で対応する姿勢は、長期的には財政の硬直化や持続性の低下を招くとされます。

与党が渋るもう一つの背景:選挙戦略と財政責任の狭間

選挙前の与党内部には減税推進の声もありますが、首相や財務大臣は財政再建の責任から慎重姿勢を崩していません([参照])

特に高齢化社会では社会保障費の増大が続き、消費税収なしでどのように制度を維持するかが現実的な課題として立ちはだかります。

具体例:減税実現が困難な構造を示す実情

たとえば、消費税を廃止すれば単年度で30兆円以上の財源不足となります。法人税や所得税の増税だけではカバーが難しく、国債への依存が過度に高まります([参照])

しかも利払い費は2023年度の約7.6兆円から2028年度には16兆円超に増加する見込みで、借金を積み増すほど財政は硬直化します。

まとめ:消費税廃止と国債乱発は制度維持の観点で非現実的

確かに消費税への反発は根強く、選挙情勢では減税を求める声が高まっています。しかし、その裏には制度の安定性・財政持続性・市場の信頼という深い懸念があります。

したがって、与党が消費税廃止や無制限な国債発行に踏み切れないのは、単なる政治的判断ではなく、財政・経済・制度設計上の総合的な判断の結果であると言えます。

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