「銀行はキーボードを叩けばお金を作り出せる」と聞いたことがあるかもしれません。それが本当なら、デフレ時にもっと積極的にお金を供給していればよかったのでは?という疑問も自然に浮かびます。この記事では、銀行がどのようにお金を作っているのか、その限界とデフレ時の問題点についてやさしく解説します。
「銀行がキーボードでお金を作る」とは?
この表現はある意味で正確です。民間銀行は預金をもとに貸し出しを行い、その瞬間に新たなお金(預金通貨)が生まれます。これは「信用創造(credit creation)」と呼ばれる仕組みです。
たとえば、あなたが銀行から100万円のローンを借りると、銀行は貸付と同時にあなたの口座に100万円の預金を「発生させる」ことになります。つまり実際に現金が動かなくても、帳簿上でお金が生まれるのです。
では、なぜデフレ時にお金をもっと作らなかったのか?
理論的には銀行がもっとお金を貸し出せば通貨供給が増えてデフレを防げたかもしれません。しかし、現実には「貸したくても借りる人がいない」、「景気が悪くて借り手の信用リスクが高い」などの理由で貸出が伸びませんでした。
つまり、銀行が勝手に無限にお金を生み出せるわけではなく、貸出先の信用・需要・金利環境が整って初めて信用創造が起きるという制約があったのです。
中央銀行のお金と民間銀行のお金の違い
ここで重要なのが、「中央銀行が発行するマネー(ベースマネー)」と「民間銀行が生み出す預金通貨(信用創造)」は別物であるという点です。
中央銀行が市場に資金を供給しても、それが貸出需要につながらなければ実体経済には波及しないため、「日銀がお金を刷っても意味がない」と言われることもありました。
デフレ時に本当に必要だったのは「信頼」
デフレの本質は「お金が足りない」のではなく、「人々が将来に不安を感じて消費や投資を控える」ことにあります。つまり、どれだけお金を供給しても、お金が動かなければ経済は回らないのです。
特に日本の1990年代後半〜2000年代初頭は、企業や家計が「借りたくない」「使いたくない」心理に支配され、信用創造のメカニズムが機能しませんでした。
実例:量的緩和とインフレ目標の効果
日銀は2000年代以降、量的緩和やマイナス金利政策を導入しましたが、当初は物価や賃金に思うような効果が出ませんでした。
ところが2020年代に入り、コロナ後の財政出動・世界的な物価高・供給制約が重なったことで、ようやく実体経済にマネーが循環しはじめ、インフレ傾向が強まってきました。
まとめ:「お金は作れる」が「動かすのは難しい」
銀行はたしかにお金を“作り出す”ことができますが、信用や需要がなければその機能は発揮されません。デフレ時に慌てた理由は、信用創造が機能しなかったことと、人々が将来に悲観的だったことにあります。
つまり、単にお金を供給するだけでは不十分で、それを使いたいと思わせる信頼・期待・経済の見通しこそがカギなのです。

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