株式市場では時に、明らかに経営が悪化している企業の株に投資する人がいます。特に倒産寸前や上場廃止直前の企業の株式、いわゆる”倒産株”や”ボロ株”を狙う投資家の存在は、経験豊富な投資家ほど不思議に思うかもしれません。しかし、そこには独自のロジックやリスク許容度に基づいた戦略があるのです。本記事では、なぜ倒産株が買われるのか、どのような考え方が背景にあるのかを解説します。
倒産株が買われる理由とは?
一見すると価値のないように思える倒産株が取引される背景には、投機的な目的があります。株価が数円、場合によっては1円になった銘柄であっても、わずかな値動きが数倍のリターンをもたらす可能性があるためです。たとえば1円で購入した株が2円になるだけで100%の利益になります。
また、「会社更生法」や「民事再生法」の適用で奇跡的に復活を果たす企業も稀にあるため、それを狙った”復活期待買い”という心理も働きます。
四季報や財務情報を無視する危険性
とはいえ、こうした投機的な投資は非常にリスクが高く、上級者でも損失を抱えることが多いです。特に四季報やIR情報、直近の財務状況を確認せず、ネットの噂や新聞報道だけで買ってしまうのは極めて危険です。
企業の純資産、営業キャッシュフロー、継続企業の前提に関する注記などは、株式投資の基本的なチェック項目であり、軽視してはいけません。財務諸表から読み取れる危険信号を無視して、表面的な”株価の安さ”だけで判断することは損失のもとです。
事例:上場廃止株での損失体験
実際に2020年代に複数の上場廃止企業の株式を買った個人投資家が、急激な株価下落や株式無価値化によって全額損失となったケースがあります。特に法的整理に移行した企業の株式は、整理銘柄となり、上場廃止後は無価値となるリスクが高いです。
仮に倒産企業が再建に成功しても、再上場するには時間がかかるうえ、新株が発行されて既存株主が無価値になることもあります。つまり、短期的な夢を追うには、非常に大きな代償が伴うことを理解すべきです。
堅実な投資には「業績」が不可欠
株式投資で安定した利益を目指すのであれば、財務健全性・成長性・収益性といった企業のファンダメンタルズに注目するべきです。PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)だけでなく、営業利益率や自己資本比率、配当性向などの指標も確認しましょう。
また、日経新聞や四季報、企業のIR資料を確認して、業界全体の流れや企業の中期経営計画、競合優位性なども検討材料に加えると、より長期的な視点で判断できます。
「目先の1円」ではなく「継続的な資産形成」を
倒産株の値動きは魅力的に見えるかもしれませんが、それは宝くじのような世界であり、運任せの投資に近いものです。一時的に成功しても、再現性が乏しく、長期的には損失につながるリスクが極めて高いです。
それよりも、安定した企業の株を分散して保有し、配当や株主優待なども含めて着実に資産形成していく戦略のほうが、結果的に「損をしにくい投資」と言えるでしょう。
まとめ:倒産株投資は慎重に。情報と判断力がカギ
倒産株を買う行為は否定されるべきものではありませんが、極めて高リスクであることは間違いありません。「安いから」「話題だから」ではなく、きちんと四季報や財務指標を確認する習慣を身につけ、堅実な投資行動を心がけましょう。
一時の熱狂に流されることなく、会社四季報オンラインなどの信頼できる情報を基に、冷静に判断することが、失敗しない投資の第一歩です。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
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