経済学で総需要曲線を考えるとき、「A = C₀ + I + G + (EX − IM)」という式に出会うことがあります。この“定数A”を導入する意味は何か、なぜこうした定義が必要なのか、初心者にもわかりやすく解説します。
「A」は何を表す?構成要素を確認しよう
式に出てくる「A = C₀ + I + G + (EX − IM)」とは、消費・投資・政府支出・純輸出(輸出−輸入)など、所得(Y)に依存しない“自律的な支出”をすべて合計したものです。ここで。
- C₀:基礎的な消費(所得ゼロでも行われる消費)
- I:投資
- G:政府支出
- EX:輸出
- IM:輸入
これらは「Y(国民所得)」の増減に関係なく一定としてモデル化されることが多く、分析を簡潔にするためにまとめて「A」と呼びます。
なぜ「A」を置く必要があるのか?
経済モデルでは、複雑な現実の経済を一定の前提で単純化することが重要です。特にマクロ経済の入門的な分析では、変数が多すぎると因果関係の理解が難しくなります。
そこで、自律的支出(所得に依存しない部分)をAとしてくくることで、「D = cY + A」というように、総需要(D)のYに対する反応を直感的に捉えやすくなるのです。
式「D = cY + A」が持つ意味
この式は、総需要が「限界消費性向(c)」によって所得に比例して増加する一方で、「A」によって一定水準から始まることを意味します。つまり、所得がゼロでも、投資や政府支出などを通じて一定の需要が存在する、という前提を表しています。
この考え方をベースにして、乗数効果の計算や均衡所得の導出などを行っていきます。
実際の例で考える:Aが大きくなるとどうなる?
たとえば、政府が大規模な公共事業(G)を行ったとします。すると「A」の値が増え、総需要曲線が上方にシフトします。これにより、一定の所得Yに対してより高い需要Dが生まれるため、経済の均衡点が変化し、結果として国民所得が拡大する可能性があります。
反対に、輸入が大きくなって純輸出(EX−IM)がマイナスになると、Aは小さくなり、総需要が下がります。これも、モデルを使って経済政策の効果を評価する際に重要な視点です。
限界消費性向(c)との関係も理解しよう
「cY」の部分は、所得が1単位増えたときに何割消費されるかを示す指標です。例えばc=0.8なら、所得が1万円増えると8千円が消費に回ることになります。
「A」はこのcの影響を受けず、所得の変化とは独立している点がポイントです。
まとめ:Aの導入は分析を直感的にするための工夫
「A = C₀ + I + G + (EX − IM)」という形で自律的支出をまとめることで、経済モデルがシンプルになり、総需要曲線の動きを理解しやすくなります。初学者にとっては抽象的に感じるかもしれませんが、経済の構造を俯瞰するうえで非常に重要な考え方です。
この基本を押さえることで、より高度なマクロ経済分析にもスムーズに移行できるようになります。

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