「大金をスポット購入した日の市場だけなぜか上がる気がする」——そんな経験をしたことがある投資家は意外と少なくありません。これを“自分だけのアノマリー”だと感じている方も多いかもしれません。本記事では、投資の約定日と市場の動きに関する“アノマリー感覚”がどこから来るのか、心理学とマーケットの特性を踏まえて考察します。
“約定日だけ稲妻が輝く”と感じる心理的要因
投資の世界では、自身のエントリータイミングと市場の値動きが偶然重なった時、「運命的」な印象を持ちやすい傾向があります。これは認知バイアスの一種である代表性ヒューリスティックや確証バイアスと呼ばれるもので、たまたまの成功を強く記憶し、それが何度も起こっているように錯覚するのです。
例として、「大きな金額を一括で投入した日の翌日に株価が大きく上がった」という経験は強く印象に残るため、それ以降の投資判断にも影響を与える可能性があります。
市場の動きは“偶然の積み重ね”でもある
マーケットは無数の参加者の売買が重なって動いています。その中で自分の約定日が“たまたま”好転することもあり得ますし、逆に損をする日も同じくらい存在します。しかし、人は成功体験に比べて失敗を記憶から除外しがちです。
統計的に見ると、一個人の売買が市場全体に影響を与えることは非常にまれであり、全体としてはランダムウォークに近い動きを示すとされています。
「アノマリー」をどう捉えるべきか
金融の世界には「月曜日効果」や「四季報効果」など、いわゆる“アノマリー”とされる現象が数多く存在します。これらは過去のデータから一定の傾向を抽出したもので、必ずしも再現性があるとは限りません。
したがって、「約定日アノマリー」が自分の中で頻繁に感じられる場合でも、統計的裏付けがない限り、再現性のある戦略として扱うのは慎重であるべきです。
メンタル管理の観点から見る“マイアノマリー”
投資はメンタルの影響を大きく受けます。「自分は運がいい」「自分の判断は冴えている」と思えることは、心理的な安定を生む良い面もあります。一方で、それが過信となり、リスクの過小評価や集中投資に繋がる可能性もあります。
“マイアノマリー”を否定せずに「気分よく投資を続けるためのモチベーション」として活用しつつ、客観的なデータに基づく分析を並行して行うことが望ましいでしょう。
具体的な対策:記録と検証で自分の傾向を知る
こうした感覚が実際に“偶然”なのか“傾向”なのかを見極めるためには、自分の取引履歴を記録・分析することが有効です。
- 約定日の市場の動きを記録し、平均リターンを計算する
- エントリー直後のリターンと全体相場の乖離を比較
- 再現性の有無を検証し、実際の勝率を数値化
これにより、自分の感覚が事実に基づいているのか、心理的印象に左右されているのかが明らかになります。
まとめ:アノマリーに振り回されずに向き合う投資姿勢を
“約定日だけ市場が上がる”という体験は、多くの投資家が共感する感覚です。しかし、それが実際の戦略に影響を与えるかは慎重に判断すべきです。認知バイアスを理解し、冷静な記録と検証を続けることで、より安定した投資判断が可能になります。自分なりの“マイアノマリー”をポジティブに捉えつつも、客観性を忘れないことが成功への鍵です。

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