農林中金の巨額赤字はなぜ起きた?金利上昇と含み損をわかりやすく解説

経済、景気

2024年に話題となった農林中央金庫(農林中金)の巨額赤字。その原因は「金利上昇」と説明されていますが、専門的な言葉が多くて理解しづらいという方も多いでしょう。この記事では、投資初心者でもわかるように農林中金の赤字の仕組みを、例え話や図解に近い形でわかりやすく解説します。

農林中金はなぜ赤字になったのか?

農林中金の赤字の主な要因は「保有している外国債券の価格が下がったから」です。農林中金は、米国の国債など金利が上がると価格が下がる債券を大量に保有していました。2022年以降の世界的なインフレと金利上昇の影響で、それらの債券の評価額が大きく下がり、“帳簿上”の損失、いわゆる「含み損」が膨らんだのです。

この含み損が決算に反映され、赤字として計上されることになりました。実際にお金が出ていったわけではありませんが、会計上は損失として扱われます。

ポケモンカードで例えるとどうなる?

質問の例え「ポケモンカード」は非常にわかりやすい視点です。仮にあなたがレアカードを1万円で購入し、そのカードの市場価値が数年後に1000円になったとしましょう。このとき。

  • 売らずに持っているだけならお金は減っていませんが、評価額は9000円マイナスです。
  • これが「含み損」で、会計上では“損”として扱われることがあります。

農林中金も、保有している債券を売ってはいないかもしれませんが、市場価格が下がったことで“価値が減った”と見なされ、損失を出したということになります。

金利が上がると債券価格が下がる理由

「金利が上がる=損失」と聞くと不思議に思えるかもしれません。ここでは債券の基本的な仕組みを押さえましょう。

  • たとえば、年利2%の債券を100万円で購入したとします。
  • その後、市場金利が5%に上がると、同じ100万円でもっと利息がもらえる新しい債券が出てきます。
  • すると、古い2%の債券は魅力が薄くなり、市場での価値(価格)が下がります。

農林中金はこうした金利上昇による価格下落の影響を強く受けたというわけです。

実際に損したの?それとも帳簿上だけ?

重要なのは「損失のほとんどは現時点では“含み損”」であるという点です。つまり。

  • 債券を売却していなければ現金の流出はありません。
  • しかし会計上は資産価値が下がったと見なされ、損失計上されます。

ただし、含み損のまま放置できない場合もあります。たとえば、金融機関には一定の自己資本比率を保つルールがあるため、保有資産の評価が下がると資本増強(増資や売却)を迫られるケースもあります。

農林中金の対応と今後の展望

農林中金はこの状況に対応するため、保有資産の見直しやリスクの分散を進めており、数年かけて立て直しを図る方針を打ち出しています。また、日本政府や金融庁も事態を注視しており、金融システムへの影響が広がらないように対策が講じられる見通しです。

まとめ:農林中金の赤字は「今すぐ現金が消えた」という話ではない

農林中金の赤字の本質は、「金利上昇によって保有債券の評価額が下がったこと」にあります。実際に何兆円もの現金が消えたわけではなく、多くは“帳簿上の損失”です。ただし、これが続くと資本規制や信用リスクに影響を及ぼす可能性もあり、金融機関としての信頼回復には時間がかかるかもしれません。

私たち一般投資家にとっても、債券や金融商品の値動きと金利の関係を学ぶ良い機会と言えるでしょう。

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